契約書管理とは?
3つの管理手法を比較し、理想的な管理方法を解説

企業活動において、必ず発生するのが契約書の締結とその管理業務です。契約書の管理を適切に行うことで、リスクマネジメントだけでなく、営業機会の獲得や業務効率化などにもつながります。一方で、「契約書の適切な管理方法がわからない」と悩む担当者も少なくありません。
この記事では、理想的な契約書管理の形や具体的な3つの手法「エクセル台帳」「契約書管理サービス」「文書管理システム」の比較について解説します。

契約書管理とは

契約書管理とは、企業間取引や労働者との雇用など、さまざまな契約に関する書類や有効期限、取引内容などを管理することです。

契約書は取引の種類によって、売買契約書、請負契約書、委任契約書、秘密保持契約書(NDA)、雇用契約書、金銭消費賃貸契約書など、さまざまなものが存在します。それぞれに異なった取引内容、納期限、権利、禁止事項などが定められています。

こうした契約書および内容について適切に把握・共有・活用・保存を行うのが、契約書管理です。

近年では、契約書作成・保存や契約締結をオンラインで完結させる、契約書の電子化や電子契約が普及してきました。電子化に伴い、契約書管理の方法も変化しつつあります。

契約書管理が適切にできている状態とは?

契約書管理が適切にできている状態の具体例として、主に次のものが挙げられます。

  • 契約書に関する情報(締結日・満了日、取引内容など)がすぐに検索できる
  • 社内外の人間による紛失、破損、改ざん、流出などのリスクを防ぐ適切な場所に保管している
  • 契約書の閲覧や持ち出しの記録が残され、いつ誰がアクセスしたかがわかる
  • 従業員間で契約書の内容や保管場所が共有され、適切なアクセス制御がされている

契約書は、製品の納入期限や売買記録、労働関係の契約内容、違反事項など、取引先と自社双方の権利・法的根拠を示す大切な書類です。
「するべきこと」「してもよいこと」「してはならないこと」が記載してあり、さまざまな取り決めについて証明するためには欠かせないものとなっています。

リスクマネジメントや業務効率化の観点から、契約書管理は重要な業務だと言えるでしょう。

契約書管理が適切にできている状態とは

適切に管理できていないと生じる問題

適切に契約書管理ができていないと、「紛失・破損等による企業の重大な損失」「情報共有の不透明化による業務遅延・停止」「業務効率の著しい低下」などにつながる可能性があります。それぞれの問題について見ていきましょう。

管理不足による問題 具体的な損失
紛失や破損等による
企業の重大な損失
  • ステークホルダーからの信頼が低下する
  • 契約書の確認ができなくなる
情報共有の不透明化による業務遅延・停止
  • 従業員による意図しない契約違反の発生、相手による不正の指摘
  • 契約書の保存場所がわからず、検索に時間がかかる
業務効率に著しい低下
  • 契約書を見れず、契約書に基づいた営業などがやりにくくなる
  • 納期限や内容の勘違いにより、リスケジュールや作業やり直しが発生する

適切に管理できていない場合、今からやるべきこと

自社の契約書管理が適切に行われていないと感じている場合は、今からやるべきこと・見直すべきこととして、「契約書の管理ルールの見直し・規定をする」「契約書の運用に関する管理体制を構築する」「電子契約などを取り入れ効率化を図る」の3つの実施をおすすめします。

今からやるべきこと

契約書の管理ルールの見直し・規定をする

適切な契約書管理の方法や運用における見直すべきルールの例として、次のものが挙げられます。

  • 契約書の有効期限、契約の自動更新の有無などについての定期的な確認
  • 閲覧制限の範囲やアクセス権限の設定および責任者についての規定
  • 契約書に関するアクセスログの管理・保存の設定

優れたシステムを導入しても、管理や運用ルールについて曖昧だと、契約書に関するリスク回避は難しくなります。管理・運用方法についてはしっかりと定めておきましょう。

とくに検索性を高めることで、営業機会の損失の防止や契約関係のリスク回避などにつながります。検索性を高めるには、契約書に関する情報を一元化し、検索・保存・アクセスをスムーズにできる管理方法がおすすめです。

契約書の運用に関する管理体制を構築する

「どこが管理する」「どのように運用する」といった、契約書に関するルールを管理するための体制を構築しましょう。大まかな流れは次のとおりです。

管理体制の構築の流れ 概要
契約書を管理する
責任者の選定
責任者となる部門・人物を選定し、契約書管理に関する体制構築や改善の中心になってもらう
契約書管理台帳の作成
  • 契約書管理台帳(契約書の内容、有効期限、原本保管場所、当事者名、自動更新の有無などを管理する台帳・データベース)を作成する
  • エクセルや契約書管理システムなどのシステムを用いる場合は、自社の規模や予算に応じて最適なものを選定する

電子契約などを取り入れ効率化を図る

適切な契約書管理を行う方法としておすすめするのは、電子の契約書発行や電子契約、電子署名などの、契約書作業に関する電子化です。電子化のメリットは次のとおりです。

  • 対面でなくてもインターネット上で契約を締結できる
  • タイムスタンプによって契約書の改ざん・偽装のリスクを減らせる
  • 電子的な検索ができるので、検索性の向上や紛失リスクの低減につながる
  • ペーパーレスによる物理的な保管場所が必要なくなるので、省スペース化が実現できる
  • 災害や盗難などによる物理的な紛失・破損の危険性が少なくなる

ただし電子化するには、情報セキュリティレベルの向上や電子化に関するシステムの導入、現行ルールの改善などが必要です。

また、契約書の中でも「事業用定期借地契約書」「企業担保権の設定または変更を目的とする契約書」「任意後見契約書」「特定商取引(訪問販売等)の契約等書面」は電子化ができないので注意してください。

契約書管理の3つの管理方法

契約書管理の方法として、主に「エクセル台帳」「契約書管理のSaaSサービス」「汎用的な文書管理システム」の3つが挙げられます。それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。

契約書管理の3つの管理方法

エクセル台帳で管理するメリット/デメリット

エクセル台帳による契約書管理は、他のソフトが不要で手軽に導入できる利点があります。
低コストで始められるうえ、エクセルの範囲内で自由に設計でるため、契約書の数が少ない場合やエクセルのスキルを持っている場合におすすめです。

ただし、デザインや操作性に課題があり、エクセルの知識やスキルがないと検索性や視認性が悪くなる可能性があります。また、容量の問題で大量の契約書管理が難しかったり、エクセルを開かなければ設定した更新通知に気づけなかったりなどもデメリットになります。

契約書管理のSaaSサービスで管理するメリット/デメリット

契約書管理のSaaSサービスでは、契約書管理に特化したさまざまな機能を利用できます。
契約更新日の自動通知や契約書検索などの機能を、クラウド上で利用でき、電子契約に対応しているものであれば、オンライン上で契約締結も可能です。

一方で、契約書以外の書類・文書への対応が難しくなる可能性があります。他の機能追加はできないといった事態も考えられるでしょう。

契約書関係以外の書類の処理が多く必要な企業の場合は、契約書のみに利用できるサービスの導入が本当に効率的なのか、事前にしっかりと検討する必要があります。

汎用的な文書管理システムで管理するメリット/デメリット

契約書だけでなく様々な書類に対応できる汎用的な文書管理システムがあります。たとえば、請求書などの証憑書類から、社内規定や稟議書など契約に関する他の文書も一元管理できるため、別のシステムを導入する必要がありません。

一方で、契約書以外の書類まで管理する場合、システムの運用開始が遅れたり、管理項目が多すぎて混乱を招いたりする可能性があります。導入前に事業者や従業員と協力して自社の課題を解決できるシステムになるよう調整しましょう。

  • 設計:文書の分類、管理、権限はどうするかなど、社内で意見をすり合わせ、事業者へ伝える
  • 構築:フォルダの作成や権限設定、ワークフローの経路作成など運用に必要な機能をまとめる
  • 社員教育:導入前・後に従業員へ教育や周知を行い、スムーズに運用できるようにする

実際の運用までに時間がかかってでも、事前にしっかりと設計・構築を行うことで、自社ニーズに合う最適な文書管理システムが導入できます。システム導入による電子化が実現できれば、DX推進や働き方の多様化への貢献度も高くなるでしょう。

汎用性や設計の自由度を考えると、契約書管理の適正化には、文書管理システムの導入がおすすめです。

文書管理システムでまとめて「一元管理」

汎用的かつ高性能の文書管理システムの導入であれば、弊社住友電工情報システムの「楽々Document Plus」がおすすめです。

具体的な機能は次のとおりです。

  • 電子契約だけでなく、書面契約もまとめて管理できる
  • 汎用的なシステムでありながら、契約書管理に必要な「自動通知・自動更新などの期限管理機能」「契約先・契約内容の検索・版管理機能」などを搭載している
  • 電子契約サービスとの連携も可能で、契約審査→締結→保管・管理 という一連の流れをシステム上で一気通貫できる
  • 電子帳簿保存法(e-文書法)にも対応している

当製品についてオンラインでのご説明やデモ、その他資料請求やお問い合わせにも対応しています。楽々Document Plusについて何かございましたら、ぜひ一度お問い合わせください。

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