現金授受の手続き/工程/出納管理は
金融機関にとってよくある課題

銀行や信用金庫などの金融機関は業務の中で現金を取り扱いますが、現金を過不足なく保有し管理することが求められます。
たとえば、金融機関では預金の受け払いや代金支払い、両替などで日々管理する紙幣や硬貨といった現金の増減が発生しますが、現金が不足すると顧客への払い出しに対応できない、逆に必要以上に現金を保有するとセキュリティ等の観点から望ましくないといったように適正量の保管が求められます。

そのため、金融機関の本部と現金を取り扱う支店間では、頻繁に現金授受を行い、保有量の調整を行っています。

各支店は保有現金の不足や余剰が発生したタイミングで本部に現金の送付や回収を依頼します。
本部は各支店の依頼を毎日集計し、現金の送付や回収の手配をかけることで金融機関内の保有現金の調整を行います。

この本部と支店間の重要な手続きですが、入力ミスや集計作業の煩雑さなど、様々な課題があります。
本記事では、この手続きで発生する課題と解決方法について解説します。

本部-支店間での現金授受について

現金を金融機関内でやり取りする場合は、以下のような流れになります。

  1. 支店は不足している金額や余剰な金額を定められたExcelや用紙を使用し本部に共有します。
  2. 本部は各支店からの情報を確認し、移動させる現金を集計します。
  3. 決定した金融機関内での現金の動きを勘定系システムに連携します。
  4. 送付状を作成し、現金を運ぶ手配をします。
  5. 決められた日時に現金を送付・回収します。

TOPIC|支店から本部へ送付する現金について

支店から本部へ送付する現金は余剰金だけでなく、使用できない紙幣なども含まれます。
たとえば、紙幣の3分の2以上残っていれば、正常なものと交換してもらえるといった話を聞いたことがあるかもしれません。
そのような”損傷”した現金は金融機関や日本銀行に持ち込むことで交換ができます。

なお、金融機関も使用できない現金をそのまま保有するわけにはいかないため、日本銀行に持ち込んで正常な現金と交換します。
こうした現金の交換のプロセスは、本部が各支店から損傷した現金を収集し、本部がまとめて日本銀行に持ち込んで交換する流れとなります。
そのため、支店が本部へ現金回収を依頼する際に、「損傷現金」や「日銀鑑定」といった区分で使用できない紙幣などの回収を依頼することがあります。

このような業務は紙やExcelで運用することができます。
その中でもExcelは便利で様々なシーンで活用されていますが、課題もあります。

Excelで運用した場合の課題

Excelで運用した場合、以下のような課題があります。

転記や集計に時間がかかる

現金の送付や回収の依頼のExcelは毎日各支店から本部へ送られます。
本部担当者は毎日各支店から送付されるExcelを手作業で転記・集約する必要があり、膨大な時間を要します。

入力ミス・入力漏れが発生しやすくなる

手動でのデータ入力に依存するため、入力される値や金額のミスが発生しやすくなります。
また、メールやチャットツールでExcelを送付する場合、締切時間の管理や、提出状況の管理が煩雑です。

他システムへの連携に手間がかかる

勘定系システムといった他システムへ連携するデータを作成するために、専用フォーマットに合わせたデータ集計が必要です。

データ活用が難しい

時期別、支店別の現金需要といった分析をするためには、データを一元的に管理する必要がありますがデータが膨大になるため管理が困難です。

データベースで管理するメリット

このような課題に対し、データベースを元にした業務アプリを活用することで、以下のようなメリットが得られます。

転記・集計が不要に

支店からくる情報はアプリ内でリアルタイムに一元管理されるため、全支店の情報を転記・集計する必要がありません。
各支店の現金の過不足の状況や請求金額の確認が容易になります。

入力ミス・入力漏れを軽減

支店情報をマスターから入力する機能や金額の自動計算機能により、日々の入力が標準化され、手動での入力ミスが大幅に減少します。
いつ誰が入力したのかもデータとして管理され、入力ミスがあった場合もトレースが容易です。

さらに、入力期限を設定することができ、期限超過後の依頼の提出を防げます。
また、どの支店が提出しているかを一目で把握でき管理が容易になります。

簡単に連携可能

データを一元管理できるようになることで、他システムへ連携するためのデータを簡単にCSVやExcelで出力できます。

データ活用も簡単

ひとつのアプリにデータが蓄積されているため、支店ごとの現金の最適配分などの各種分析に蓄積されたデータを活用できます。

楽々Webデータベースで実現した場合

Excelで運用すると、以下のような課題がありました。

よくある課題

支店の課題

  • 毎日、Excelに記入しメールで共有する必要があり手間がかかる
  • 手入力で記入するため、入力ミスが発生しやすい

本部の課題

  • 締切後でも依頼のExcelを送付でき、担当者に負担がかかる
  • 各支店からのデータを毎日で手作業で集約する必要がある
  • 各支店からの提出有無がデータを集約するまでわからない
  • 支店数分の送付状や勘定系システムに連携するデータを手作業で転記して作成する必要がある
  • データが蓄積されず過去データの活用が難しい

楽々Webデータベースでできること

楽々Webデータベースを使うことで以下のように改善できます。

支店のメリット

  • ひとつのアプリに各支店がデータを入力するため、Excelの送付が不要
  • 入力が標準化されるため、入力ミスを軽減

本部のメリット

  • 集約作業が不要となり、登録済みの支店や現金授受の内容をリアルタイムで確認可能
  • ボタンひとつで送付状や勘定系システムに連携するExcelを出力可能
  • データがひとつのアプリに蓄積されるため、動向の分析業務などにも活用可能

現金の送付・回収依頼アプリを作成する

支店から現金の送付・回収を依頼するアプリを作成します。
現在使用している用紙のフォーマットを元にアプリを作成します。

現金送付・回収依頼

支店情報の入力は、別で作成する支店マスターアプリを参照して自動入力する形式とします。

支店マスターアプリを参照して自動入力

01.アプリを作成する

アプリを作成する方法を選びます。
項目を配置して作成する方法の「新規作成」を選択します。
現金授受を依頼する所定の用紙のExcelファイルがある場合は「Excelから作成」を選択します。

新規作成

現金授受の依頼には以下のような項目が必要です。

  • 支店番号や支店名などの支店の情報
  • 依頼日
  • 登録者
  • 回収してもらいたい現金や送付したい現金の情報

楽々Webデータベースで用意されている型を使い、上記の項目を配置します。
必要に応じて、上記以外の項目も追加可能です。

項目

配置する項目の詳細について一例を表にまとめました。

項目名 使用する項目型 内容・用途 値の例 備考
支店番号 文字列(1行) 依頼する支店の番号 001 支店マスターから選択が可能です。
支店名 文字列(1行) 依頼する支店名 本店営業部 支店マスターから支店番号を選択し自動入力されるよう設定できます。
登録者 ユーザー 依頼したユーザ名 住友 太郎 楽々Webデータベースにログインしているユーザの名前が初期値として設定でき、入力は不要です。
依頼日 日付 依頼した日付 2025-09-25 現在の日付が初期値として設定でき、入力は不要です。
入力時刻 時刻 依頼した時刻 13:00:00 現在の時刻が初期値として設定でき、入力は不要です。
区分 ドロップダウン 登録する依頼の区分 送付依頼 選択肢を設定し、入力時は用意された選択肢から入力値を選択できます。
一万円札(枚) 数値 送付や回収を依頼する貨幣ごとの枚数 10,000 半角数字のみ入力可能に設定できます。
一万円札(円) 計算 送付や回収を依頼する貨幣ごとの金額 100,000,000 枚数が入力されると計算結果を自動入力するよう設定でき、入力は不要です。
合計金額 計算 送付や回収を依頼する合計金額 120,200,000 枚数が入力されると計算結果を自動入力するよう設定でき、入力は不要です。

02.各支店が1区分につき1日1件のみ登録できるようにする

支店が誤って1日に同じ依頼内容のデータを複数登録できないようにするため、データ登録時のエラーチェックを設定します。
具体的には「支店番号」、「依頼日」、「区分」の組み合わせが重複しないようにすることで、上記の要件を実現できます。

エラーチェックを設定

上記の設定は一般設定で行います。

データを一意に識別する項目

「データを一意に識別する項目」にデータを重複して登録されないようにするための項目の組合せを選択し設定します。

03.送付状のテンプレートを作成する

楽々Webデータベースでは、登録されたデータを元に帳票を作成できます。
今回は、現金を送付する際に使用する送付状を楽々Webデータベースで作成できるようにします。

送付状の帳票を作成するために、送付状のテンプレートを用意します。
楽々Webデータベースに登録されたデータをPDF出力するために、Excelでテンプレートを作成します。

テンプレートを作成

Excelを使い、出力するPDFのフォーマットを簡単に作成できます。
項目ごとに作られる置換パラメータは、フォームの項目のプロパティから確認できます。

置換パラメータ

作成したテンプレートのExcelを、帳票設定の区分ごとに設定します。
検索結果の一覧画面で表示のデータを帳票出力する場合は「一覧」の区分を、データ照会画面に表示のデータを帳票出力する場合は「単票」を選択します。
各支店ごとに送付状を出力する場合はデータ照会画面から出力するため、後者の「単票」に設定します。

帳票設定

04.勘定系システムに連携するExcelのテンプレートを作成する

本部・支店間の現金の移動を勘定系システムに記録する必要があります。
楽々Webデータベースでは指定した日付や期間のデータをExcelに出力することができます。
勘定系システム連携用のフォーマットに合わせてデータ出力をすることで、勘定系システムへの記録が容易になります。

勘定系システムにデータを連携するExcelのテンプレートを作成することで、勘定系システムの項目の並びなどに合わせたフォーマットを用意できます。

Excelのテンプレート

作成したテンプレートのExcelは帳票設定に設定します。
今回は検索結果一覧でヒットしたデータを出力したいため、「一覧」に設定します。

帳票設定

現金の送付・回収依頼アプリができました

  • 入力が標準化された状態で、支店はひとつの区分につき1日1件データを登録でき、入力ミスを防げます。
  • 本部は支店からの依頼内容をリアルタイムで確認できます。
  • 送付状や勘定系システムに連携するためのExcelファイルをボタンひとつで作成できます。
  • データがひとつのアプリに蓄積されるため、業務分析などにも活用できます。

現金の送付・回収依頼アプリ

支店からの依頼登録

各支店は、現金の送付依頼や回収依頼の内容を記入します。

依頼登録

登録者や依頼日、入力時刻は楽々Webデータベースのログイン情報や現在日時に基づいて自動入力されているため、入力は不要です。

支店番号や支店情報は、支店マスターから引用して入力ができます。

支店マスターから引用

また、支店番号を手入力で入力した場合、支店マスターに一致するデータがあればポップアップを開くことなく、支店情報を自動入力することも可能です。

支店情報を自動入力

依頼する紙幣や硬貨の枚数を入力すれば、それぞれの小計と全体の依頼金額が自動入力されるため、計算ミスが発生することもありません。

小計と全体の依頼金額が自動入力

送付状の作成

本部は支店からの依頼を確認し、送付状を作成します。
支店から登録されたデータの照会画面のPDFを出力するボタンをクリックするだけで出力可能です。

送付状作成

勘定系システムに連携するExcelファイルの作成

検索条件に勘定系システムに連携するデータの期間などを指定し検索します。
検索結果にヒットしたデータをExcelファイルに出力します。

勘定系システム連携

グラフやクロス集計も作成可能

更にカスタマイズを加えることで、登録されたデータを分析業務に活用できます。
アプリ上でグラフやクロス集計を使ったデータを閲覧したり、データを元にExcelでグラフや分析結果を表示させたりすることが可能です。

グラフ・クロス集計
Excelへの出力

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