AS/400のデータ活用
AS/400(IBM i)を活かした段階的なモダナイゼーション
AS/400(IBM i)の優位性と課題
昨今、システム運用の主流は従来のホスト型やクライアントサーバ型からWebベースへと急速にシフトしています。こうしたDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れを背景に、AS/400(IBM i)を利用する多くの企業では、レガシー化が進む既存資産のモダナイゼーションが喫緊の課題となっています。
AS/400は、その高い信頼性と可用性により、システムのダウンタイムを最小限に抑えることが可能です。さらに、ハードウェア・ソフトウェア双方の耐用年数が長いため、頻繁なリプレースが不要で運用コストの安定化につながっています。
内蔵されている強力なセキュリティ機能により、大規模なトランザクション処理や重要データの保護にも適しており、基幹業務システムのように「常時稼働」が求められる環境で高く評価されてきました。
このように多くの企業が高い信頼性の基盤としてAS/400(IBM i)を採用していますが、一方で、次のような課題も顕在化しています。
- 技術者不足の深刻化
AS/400に精通した技術者は年々減少しており、若手エンジニアの習熟機会も限られているため、スキル継承が困難になっています。 - 最新技術とのギャップ
モダンな開発手法や直感的なUI/UXと比較すると、操作性や拡張性に劣るケースが多く、ユーザビリティの改善が求められています。 - コスト面の課題
ハードウェア・ソフトウェアの維持保守コストが増加傾向にあり、全体的なITコストの最適化が 必要となっています。

一方で、IBM自体は2025年以降もIBM i(AS/400のOSプラットフォーム)への投資を継続し、2035年までのロードマップを公表しています。これは、AS/400(IBM i)が今後も企業の基幹システムとして重要性を保ち続けることを示しており、ユーザにとっては安心材料となっています。
AS/400(IBM i)の強みを活かしつつ課題を解消するモダナイゼーション戦略
AS/400(IBM i)は、高い安定性や信頼性に加え、堅牢なDB2/400データベースとの親和性といった多くの強みを持つシステムプラットフォームです。しかしながら、急速に変化するビジネス環境に対応するためには、これらの強みを活かしつつ、課題を解決するモダナイゼーションが不可欠です。
効果的なモダナイゼーションを実現するためには、AS/400の特性を踏まえた適切なアプローチの選択が重要です。弊社がこれまで支援してきた成功事例から言えるのは、「段階的なモダナイゼーションこそが最善である」ということです。一から全てを作り直すリビルド(再構築)は、多大なコストとリスクが伴います。また、ビジネス環境の変化が激しく、予測が困難な現代においては、長期かつ大規模なプロジェクトは時代に適合しません。
そこで弊社では、現行の業務資産とDB2/400のデータを最大限活用しながら、以下のステップで段階的にモダナイゼーションを進めることをご提案しています。
- 早期にDB2/400への直接アクセスを実現し、業務データの閲覧・更新を可能にする仕組みを導入する。
これにより、既存のAS/400プラットフォームを維持しつつ、利用者拡大や利便性向上を迅速に達成できます。 - 次の段階として、業務プロセスの見直しや圧縮、新技術(スマートフォン対応やクラウドサービス連携など)の導入を段階的に進める。
こうした取り組みを通じて、DX(デジタルトランスフォーメーション)の効果を着実に高め、ビジネス価値を最大化します。

このアプローチにより、AS/400の優れた基盤を活かしながら、変化の激しい市場環境に俊敏に対応し、リスクを抑えながら着実にビジネスの成長を支援できると考えます。
業務効率化とDXを実現するローコードプラットフォームを活用するメリット
AS/400をWeb化する目的の実際
AS/400で利用しているアプリケーションを全面改修するには、多大なコストと時間がかかり、企業にとって負担が高くなります。パッケージに切り替える場合でも、自社の業務要件に合ったものはなかなか見つからずに膨大なカスタマイズが必要になります。
AS/400のアプリケーションをWeb化する目的は、実際のところ基幹業務システムのベース部分のプロセスやロジックに大幅な変更が迫られているわけではなく、画面の操作性改善やマルチブラウザ、マルチデバイス対応などを行いたいという要件が大半を占めています。この場合、全面改修やパッケージ導入での対応ではなく、ユーザが利用するフロント部分の画面のみをWeb化することで要件を満たすことができます。
ローコードプラットフォーム活用の提案

楽々FrameworkはWebアプリケーションを構築するための基盤ツールです。したがって、このツール上でシステムを構築する必要が出てきますが、楽々Frameworkはローコード開発プラットフォームと銘打ち、あらゆる機能を部品化し、なるべくコーディングせずにアプリケーション開発できることを目指しています。つまり、業務を知っているSEがシステムを構築できることを目標としています。
AS/400技術者はPKGを主に利用されていると思いますが、一部RPGなどの簡易言語でも構築しているかと思います。Webというと、HTMLをはじめ、JavaScript、CSS、perl、Ruby on Railsなど難しい技術・言語を利用し、ごりごりコーディングしなければならないという印象を持つ方も多いかと思いますが、楽々Frameworkでは一切そのような必要はありません。
統合開発環境Rakstudioにて、画面レイアウト、画面遷移、ロジックの組み立てをGUI画面で操作しながら実現することができます。AS/400技術者はプログラマとしてコーディングを主業務でやってきてはいないものの、業務内容には熟知された方が多いはずです。そのような方でもRakstudioを使って簡単にシステムをWeb化することができるのが、このツールなのです。
(かんたん構築)

さらに楽々Frameworkは、テーブル情報から自動的にWebアプリケーションを自動生成する機能を持っています。テーブル情報を楽々Frameworkで定義するだけで、各テーブルごとに、検索や登録、更新、削除、CSVやExcel形式でのデータ出力などの機能が備わったプログラムが自動生成されます。自動生成されたプログラムはWeb画面上からRakstudioを使って調整することができますので、ノンプログラミングでカスタマイズすることができます。
(「楽々Framework3」ブログ:テーブル定義逆生成ってなんぞや?)
このようにデータベース定義情報さえあればWebアプリケーションが構築できるので、AS/400システムである、ということを意識する必要はありません。フロントシステムの開発は、AS/400技術者でなくクライアントサーバシステムの開発しか経験したことがないようなWebシステム開発未経験メンバーであってもAS/400のユーザが利用するフロント部分の画面を簡単にWeb化することができます。ですので、AS/400技術者不足で移行もできないとお考えの企業様におかれましても、スムーズにWebアプリケーション化を支援させていただくことが可能です。
構築したWebアプリケーションは、特別に意識することなく楽々Frameworkで標準対応しているMicrosoft EdgeやGoogle Chrome, Firefox, Internet Explorerで利用でき、スマートフォンやタブレットでなどでの利用も可能となり、様々な業務シーンで利用できるシステムへ生まれ変わります。
(クライアントの動作環境)