学校法人明治大学

学校法人明治大学

「起案書」を起点に全学のペーパーレス化を推進
会計システム・文書管理システム・人事システムとの連携でDXの推進基盤を確立

学校法人明治大学(以下、明治大学)は2022年に楽々WorkflowIIを導入し、稟議書にあたる「起案書」のデジタル化に着手。従来、紙の書類に膨大な文書を添付して回付していた起案業務を大幅に効率化した。さらに人事システムと人事組織情報の自動連携や、文書管理システムとの連携による文書保存の自動化に加えて、会計システムとの連携により、従来は紙の伝票や請求書で運用していた経理業務のデジタル化を推進。改正電子帳簿保存法への対応を強化するとともに経理業務の大幅な負担軽減も図っている

1,500種類もの紙の申請書による膨大な業務負担
デジタル化の起点として、起案書のペーパーレス化に挑む

建学の精神「権利自由、独立自治」に基づき、140年以上にわたり「個」の確立を基礎とした教育活動に取り組んできた明治大学。総合大学として10学部28学科、16研究科を設け、3万人以上の学生と1,000名以上の専任教員を擁する。2022年4月からは、5年間の中期計画「第3期中期計画」をスタート。「MEIJI VISION 150-前へ-」の方針に基づき、大学経営・運営や財務戦略など、8つの領域で中期目標を設定し、その達成を目指している。

2022年に運用を開始した電子決裁システム(楽々WorkflowII)も「第3期中期計画」の情報化戦略の一翼を担っている。

では明治大学における楽々WorkflowII導入の背景には、どのような課題や狙いがあったのか。情報メディア部システム企画事務室の井上拓弥氏は、従来の業務における課題を振り返る。

「楽々WorkflowIIの導入以前、既存の業務環境に問題を感じた上層部から、紙の申請書に関する調査を指示されたことがありました。その結果、本学には約1,500種類もの紙の申請書が存在していることがわかり、ペーパーレス化の必要性がより強く意識されました。とはいえ、それだけ膨大な紙の申請書を一気に削減するのは難しく、まずは取り組みの糸口を探っていました。そこで着目したのが起案書でした」(井上氏)。

起案書は、明治大学における稟議書に相当する文書であり、一定金額以上の購買やその他事務系の業務に幅広く利用される。そのため、展開範囲も広く、ほぼすべての部門の職員が作成している。しかし、その一方で、組織図で最上位にあたる理事会の決裁が求められる場合が多く、承認経路は複雑で、紙の書類で回付するには多大な手間を要していた。人事関連など重要事項の申請の際には、起案書に膨大な添付資料が付され、学内便でキャンパス間を回付することが珍しくなかった。これらの業務を取りまとめている総務部の負担は膨大であり、まさに起案書はペーパーレス化の本丸となる文書だった。

そこで、明治大学は業務のデジタル化の起点として起案書に狙いを定める。起案書のペーパーレス化により、学内全体にデジタル化を波及させるのが狙いだった。こうして同大学はワークフローシステムの導入を決定し、製品選定に向けて動き出すこととなった。

WebAPIによるシステム連携を評価し、
楽々WorkflowIIを導入
会計システムとの連携により経理業務のデジタル化も推進

ワークフローシステムの製品選定にあたり、明治大学は製品に求める要件をまとめたRFP(提案依頼書)を作成。回答のあった8製品のなかから最も要件に適合していた楽々WorkflowIIを選定した。

決め手の一つになったのがWebAPIでの連携だった。楽々WorkflowIIは、オプションのデータ連携ライセンスを利用すれば、WebAPIを通じて多様なシステムと連携が可能だ。実際に、RFPでは各製品ベンダーに、WebAPIのリストの提出を求めたが、比較対象の製品のなかで最も多くのWebAPIのリストを提示したのが楽々WorkflowIIだった。起案書のペーパーレス化を起点に、デジタル化の効果を学内全体に波及させようとしていた明治大学にとって、幅広いシステムとの連携を手軽に可能とする機能は大きな魅力だった。

こうして明治大学は楽々WorkflowIIを選定し、導入に向けたプロジェクトを始動。並行して、新たな取り組みが学内で動き出していた。それが会計システムのリプレイスだった。その目的の一つは2024年から義務化される改正電子帳簿保存法への対応だったが、楽々WorkflowIIの導入を好機と捉えた明治大学は、両システムの連携によるデジタル化の促進とそれによる業務効率化を狙った。当時の構想について、情報メディア部システム企画事務室の乾亮平氏は解説する。

「従来、本学の経理業務は極めてアナログなものでした。たとえば、請求書処理の業務では、会計システムへの入力処理と並行して証憑を添付した紙の申請書を用意し、紙への押印で承認を受けた後に、会計システム上で支払いの処理を進めるといったフローでした。このフローは極めて煩雑でしたし、改正電子帳簿保存法の施行後には証憑類の電子保存も必要となります。こうしたなかで新たな会計システムの導入がもち上がったのですが、同じ部門内で楽々WorkflowIIの導入が進んでいたことから、両システムの連携を計画しました。楽々WorkflowIIはWebAPIの連携に優れ、ワークフローの機能で支払い申請書を回付すれば経理業務のペーパーレス化も可能になります。そのため、新たな会計システムも『楽々WorkflowIIと連携できること』を条件に製品を選定しました」(乾氏)。

起案書のペーパーレス化に加え、経理業務のデジタル化にも領域を拡大した明治大学だったが、導入プロジェクトは両システムともに比較的スムーズに進行。楽々WorkflowIIの起案書業務への導入については、大学独特の複雑な 100以上のパターンのある承認経路を、シンプルかつ汎用的にまとめる作業と共に、申請途中でも経路変更ができる楽々WorkflowIIの機能を前提に、現場に任せることも考慮しながら設計を進め、各部門からの協力を得ながら構築できた。また、会計システムの導入は法改正への対応を伴うこともあって、学内から理解や協力を得やすく、既存の業務フローの変更についてもスムーズに進められた。こうして明治大学は、業務のデジタル化の道を着実に歩んでいく。

起案書のペーパーレス化に加え、
関連した起案書をまとめて承認できる機能が
さらなる業務効率化を実現
職員の約80%が「システムを導入して良かった」と回答

現在、明治大学では約90部署、約5,000人に楽々WorkflowIIが利用されている。当初の目的であった起案書と、支払い申請書などの経理業務用の申請書に加え、施設や設備の修理依頼書などもペーパーレス化されている。

これによる導入効果も明らかだ。なかでも最も大きな効果があったのが起案書。従来、起案書は紙の書類で出力され、理事会などの会議体による承認が必要な内容については、膨大な会議資料が付されて回付されていた。しかし現在では、楽々WorkflowIIで起案書がペーパーレス化され、日付や起案名などの任意のキーワードで関連する起案書を一覧で表示する機能により、複数の起案の内容や添付された会議資料を効率的に確認することができる。これをまとめて承認する「一括承認機能」を利用し、会議で承認された文書の処理に要していた手間と時間は大幅に縮小された。

起案書のフォーマット

さらに、システム連携による効果も大きい。乾氏はその変化に手応えを感じていると話す。

「今回のプロジェクトでは、会計システムに加え、文書管理システムや人事システムと楽々WorkflowIIの連携も実施しました。具体的には、WebAPIにより楽々WorkflowIIと文書管理システムを連携して決裁後の起案書(書類と添付ファイル)などを自動的に保管することで総務部の文書管理の手間を削減しています。また、会計システムとの連携により、会計システム側で入力した支払い情報を楽々WorkflowIIに連携して申請書として回付し、決裁処理を進め、決裁が完了したデータを会計システムに戻して支払い処理を継続するといった仕組みを構築しています。これにより、証憑の電子保存を含む改正電子帳簿保存法への対応を実現したほか、請求書処理の業務のデジタル化など、業務効率化も大幅に向上しています」(乾氏)。

これに加え、人事システムからはCSV形式で人事組織情報が自動連携されており、楽々WorkflowIIのマスターメンテナンスの手間が不要になっている。

各システムの連携図

こうした変化には、利用者からも好評の声が挙がっており、起案書業務に関わる職員約100名を対象に実施したアンケートによると、全体の約80%が「起案業務をシステム化して良かった」と回答している。

今後は市民開発の推進体制の構築に取り組む
楽々WorkflowIIを基盤に
さらなる業務のデジタル化に挑む

明治大学は今後、楽々WorkflowIIの利用範囲をさらに拡大することを見据えている。今後の展望について井上氏は語る。

「今後の目標は市民開発の推進です。各部門が主体的に楽々WorkflowIIを利用し、部門内の紙の申請書をペーパーレス化していく体制を築ければ、業務のデジタル化はさらに加速すると思います。そのため、今後は市民開発を定着させるための支援や仕組みづくりに力を注いでいくつもりです」(井上氏)。

起案書のペーパーレス化からスタートした取り組みは、会計システムなどとの連携を通じて、大きな成果を挙げつつある。業務のデジタル化の基盤となるシステム体制を構築した明治大学。今後のさらなる展開に期待が高まる。

情報メディア部
システム企画事務室
井上 拓弥 氏
情報メディア部
システム企画事務室
乾 亮平 氏
学校法人明治大学様のホームページ ※本事例中に記載の組織名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点(2025年3月) の情報です。

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