IT資産管理入門

コーポレートガバナンスとは?
必要性やコンプライアンスとの違いを解説

情報化社会が進む日本において、企業の不祥事や従業員のコンプライアンス違反が、SNSを通じて急速に社会へ広まるようになりました。企業にとっては、そもそも不祥事が起きないような管理体制の構築が必須でしょう。

企業の不正行為を未然に防ぐためには、「ガバナンス(企業の場合はコーポレートガバナンスと呼ぶ)」の設定が非常に重要です。

当記事ではガバナンスの意味やコンプライアンスとの違い、ガバナンスの必要性、ガバナンス強化のメリット・具体的な方法などを解説します。

目次

ガバナンスとは?コンプライアンスとの関係について

ガバナンス(governance)とは、日本語で「統治・支配・管理」を意味する言葉です。

ビジネスシーンなどで使われるガバナンスは、主に経営者・管理者が「健全な企業経営」や「透明・公正かつ迅速・果断ない意思決定」などを行うために、管理体制の構築・内部統治を実施することを意味します。

要は企業が取引先や消費者、株主などのステークホルダーとの強固な信頼関係を結ぶために、業務内容や従業員をしっかり管理する体制のことをガバナンスと呼びます。

上場企業の指針となる「コーポレートガバナンス・コード」

日本の経営者・専門家・社外取締役などの経営に携わる方々で結成される日本取締役協会では、上場企業が参照すべき原則として「コーポレートガバナンス・コード」を制定しています。

こちらは実際に、東京証券取引所が上場企業などに対して、ガバナンス設定用のガイドラインとして公表しています。上場企業は、このガバナンス・コードに関する報告書を提出しなければなりません。

ガバナンス・コードの基本原則は次のとおりです。

ガバナンス・コードの基本原則 概要
株主の権利・平等性の確保 株主の権利や平等性が確保できる環境づくり
株主以外のステークホルダーとの適切な協働 企業の価値向上や成長はステークホルダーのおかげと認識し、配慮する
適切な情報開示と透明性の確保 会社の財政状態や経営成績、経営課題、その他非財務情報の開示について主体的に取り組む
取締役会などの責務 取締役会は株主に対するさまざまな責任を踏まえて、企業戦略の大きな方向性掲示や経営陣とは独立した立場の監督設置などを行う
株主との対話 株主総会の場以外においても、株主との間で建設的な対話を行う

上記は上場企業や上場を目指す企業を対象にした指針ですが、中小企業のガバナンス構築の際の参考にもなるはずです。

ガバナンスとコンプライアンスの違い・関係性

コンプライアンス(compliance)とは、企業活動における「法令遵守」を意味する言葉です。

他には社会的模範、企業倫理、その他のモラルに関することを守るという意味も含まれています。

このコンプライアンスの維持・改善を行うための管理体制がコーポレートガバナンスです。コンプライアンスは、コーポレートガバナンスの中に包括されているイメージになります。

(⇒ IT資産管理入門「コンプライアンス」

リスクマネジメントとの関係性

リスクマネジメントとは、あらかじめ想定できる経営上のリスク(市場動向や資金調達、コンプライアンス違反、その他の不確実な要素)を把握し、事前に分析・対策することです。

企業に起こりうるさまざまなリスクに対応することは、企業の健全な経営にもつながります。そのためリスクマネジメントの実施は、コーポレートガバナンス強化にも関係するといえるでしょう。

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コーポレートガバナンスの必要性

日本でも2013年・2014年には「日本再興戦略-JAPAN is BACK」や「日本再興戦略改訂版」などを発表するといった、コーポレートガバナンス強化を打ち出しました。こうした国が主体となって発信した事実があるように、コーポレートガバナンスの必要性は日々増しています。

必要性が出てきた大きな理由としては、「企業の不正や情報漏えいが増えてきたこと」「世界中で投資活動が活発になってきたこと」「企業のクリーンさが評価される時代になったこと」の3つが挙げられます。

不正や情報漏えいが増えてきたこと

1990年代のバブル崩壊後、企業や従業員によるさまざまな不祥事が明るみに出るケースが増加しました。

・2002年:大手食品メーカーの牛肉偽装

・2005年:保険会社の保険金不払い問題

・2010年:大手製紙会社の資金私的借入

・2014年:教育系企業の個人情報流出

・2017年:大手メーカーのデータ改ざん

・2019年:不動産会社の建築基準法違反

スマホやSNSの普及により、今や誰でも発信者となれる時代です。企業の評判は良くも悪くも広がりやすくなりました。昨今では、「バイトテロ」と呼ばれる不祥事や従業員による内部告発などがSNS上で拡散され、瞬く間に企業の評判が失墜するケースが頻発しています。

企業全体のコンプライアンス意識が、非常に重要になってきたといえるでしょう。

世界中で投資活動が活発になってきたこと

個人投資家や外国人投資家の影響力が増加している昨今、株主の力も以前より大きくなりました。

もし企業が売上や全体の業績などを隠匿・偽装などをすれば、投資家や金融機関からの信用は一気に失墜し、出資や融資が受けられなくなります。企業の内部について、より公正・透明な説明を求められるようになったのです。

公正・透明さによって信頼を獲得するために、企業は強固なコーポレートガバナンスの運用が必要になりました。

企業のクリーンさが評価される時代になったこと

不祥事が明るみに出やすくなった近年では、クリーンかつ健全な経営を行う企業が、ステークホルダーから評価を受けやすくなっています。

コーポレートガバナンスの強化によって公正・透明性ある企業イメージを獲得できれば、企業の価値も上がることになるでしょう。

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企業がコーポレートガバナンスを強化する具体的なメリット

企業がコーポレートガバナンスを強化するメリットをみていきます。

従業員・役員の不正防止になる

コーポレートガバナンス強化によって、従業員・役員による不正会計や横領、その他の腐敗を防止・発見につながります。

不正が要因となるステークホルダーからの信用失墜は、現代社会においては非常に大きなダメージです。コーポレートガバナンスの設定は非常に有効といえるでしょう。

企業価値を上げられる

コーポレートガバナンスの強化は、ステークホルダーからの信頼獲得やスムーズな経営につながります。優良企業として周囲に認知されることで、企業価値を上げられます。

ガバナンス強化で企業価値が上がるメリットは次のとおりです。

・消費者や取引先、投資家からの評価が上がり、業績や株価が向上する

・株主や金融機関からの資金調達がやりやすくなり、財務強化となる

・企業の持続的成長により、優秀な人材獲得や新規事業の投資が進めやすくなる

・安心して働けることにより、従業員のモチベーションが上がり生産性向上や離職率低下(エンゲージメントの向上)が見込める

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コーポレートガバナンスを強化する方法・対策

コーポレートガバナンスを強化する方法・対策としては、「コンプライアンス意識を高める」「リスクマネジメントを実施する」「内部統制・内部監査を行う」「社外取締役や監査役などの第三者の視点を置く」「労働環境を改善する」などが考えられます。

コンプライアンス意識を高める

コーポレートガバナンスを強化するには、まず経営活動での原則となる法令や社会倫理などの遵守が前提となります。

いくらリスクマネジメントや内部統制を行おうとも、従業員のコンプライアンス意識が低ければ不正やトラブルは防ぎきれず、ガバナンス体制は崩壊するでしょう。

従業員のコンプライアンス意識を高めるには、次の施策が考えられます。

・情報リテラシーや法令などについての従業員教育を実施する

・ITシステム・ツールを利用してシステム的に不正やミスを防ぐ

リスクマネジメントを実施する

事前に従業員・役員が起因のリスクや、設備・セキュリティが要因となるリスクなどを洗い出し、適切に管理するリスクマネジメントを実施しましょう。

リスクをゼロにするのはほぼ不可能です。だからこそ、事前にリスクが起こることを想定し、リスクに対する初動や報告体制、行動などをまとめておくことが大切です。

内部統制や内部監査を行う

従業員の背任行為や違反行為を防ぐために、適切に機能する内部統制(従業員が遵守すべきルールの設定や監視体制)を強化することも、コーポレートガバナンスの強化につながります。

また内部監査を実施し、コンプライアンスの意識やリスクマネジメントが機能しているか公平かつ定期的にチェックするのも有効です。

社外取締役や監査役などの第三者の視点を置く

経営者や役員レベルの不正や癒着を防ぐには、力関係に左右されず中立の立場で指摘できる第三者の視点が効果的です。

社外取締役や監査役による委員会(監査委員会・報酬委員会など)を設置し、社内以外の意見や要望を積極的に取り入れるようにしましょう。

労働環境を改善する

従業員の労働環境を改善することも、コーポレートガバナンスの強化につながります。

そもそも従業員がコンプライアンス違反を起こす原因として、企業への不満や疲労によるミスなども挙げられます。つまり、労働環境が適切であれば従業員は不正を働こうとする意識もなくなり、疲れによるヒューマンエラーも減らせるはずです。

実際に2021年に改定されたコーポレートガバナンス・コードでは、「人権の尊重、従業員の健康、労働環境への配慮、公正・適切な処遇の実現へ積極的・能動的に取り組む必要がある」と明記されました。

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コーポレートガバナンス強化としてのIT資産管理

コーポレートガバナンスの強化において、IT資産管理を取り入れることは重要です。IT資産とは、企業が持つパソコンやサーバなどのハードウェア、アプリやデータ保存ソフトなどのソフトウェアなどIT関係の資産のことです。

IT化が進む昨今では、企業が持つ機密データや管理端末などの価値が上がったことで、IT資産を管理する重要性が大きくなりました。

もしIT資産関係でのガバナンスが適切でなければ、情報漏えいやコンピュータウイルス対策感染、システム乗っ取りなどの致命的なセキュリティインシデントにつながりかねません。

そのため、コーポレートガバナンス強化の一環として、IT資産管理の強化も行いましょう。

弊社住友電工情報システムでは、コーポレートガバナンス強化に寄与するIT資産管理ツール「MCore」を提供しています。ソフトウェアの不正利用やパソコンの社内ルール違反のチェック、勤務状態の把握などをまとめての管理・監視が可能です。

(⇒ IT資産管理/セキュリティ管理統合システム「MCore」

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