システム内製化とは?メリットや進め方、成功のポイントを解説

基幹システムタイトル

システム内製化とは、システムの企画・開発・運用などをすべて外部ベンダーに任せるのではなく、自社が主体となって取り組むことです。すべてを自社だけで行う必要はなく、目的や自社の体制に応じて、内製する範囲を決めることが重要です。
内製化によって、業務の変化や現場からの改善要望に素早く対応しやすくなり、システムや業務に関するノウハウを社内に蓄積できます。一方で、人材やスキルの不足、開発の属人化、品質のばらつきなどによって、内製化がうまく進まないケースもあります。
本コラムでは、システム内製化のメリットやうまくいかない原因、進め方、成功のポイントに加え、継続的な内製化を支える開発基盤の選び方について解説します。

第1章 システム内製化とは

基幹システムの具体例

システム内製化とは、システムの企画・開発・運用・改善などをすべて外部ベンダーに任せるのではなく、自社が主体となって取り組むことです。
内製化といっても、企画から開発、運用まですべてを自社だけで行う必要はありません。例えば、業務要件の整理や設計は自社で行い、専門的な開発は外部ベンダーへ依頼する方法や、一部の業務システムだけを自社で開発する方法、開発後の改修・改善を自社で担当する方法などがあります。

重要なのは、外部ベンダーを利用するかどうかではなく、自社がシステムの目的や仕様を理解し、必要な変更や改善を主体的に判断できる状態をつくることです。そのため、自社の人材やスキル、対象となるシステムの規模・重要度に応じて、内製する範囲と外部へ委託する範囲を決める必要があります。
近年は、業務や市場環境の変化に素早く対応する必要性が高まる一方、IT人材の不足や外部ベンダーへの依存といった課題もあります。こうした背景から、自社にシステムや業務のノウハウを蓄積し、継続的に改善できる体制をつくる手段として、システム内製化が注目されています。

第2章 システムを内製化するメリット

システム内製化の大きなメリットは、自社でシステムや業務への理解を深め、業務の変化に合わせて継続的に改善しやすくなることです。外部ベンダーへの依頼が必要な範囲を減らすことで、変更や改善のスピードを高められるほか、システムに関する知識やノウハウを社内に蓄積できます。

業務の変化や改善要望に素早く対応できる

外部ベンダーへ改修を依頼する場合、要件の説明や見積もり、契約、開発スケジュールの調整などが必要となり、小さな変更でも対応までに時間を要することがあります。
自社で改修できる範囲を持つことで、業務ルールの変更や現場からの改善要望に対して、より素早い対応が可能になります。

業務部門の要望をシステムに反映しやすい

外部ベンダーへ開発を委託する場合、業務部門の要望を情報システム部門が整理し、ベンダーへ伝えるなど、複数の関係者を介して要件を共有することがあります。そのため、細かな業務上の意図を伝えるための認識合わせや、変更時の調整に時間がかかるケースが見受けられます。
内製化によって、業務を理解する社内の担当者とシステム開発を担う担当者が連携しやすい体制を整えると、業務上の課題や改善要望をシステムへの反映がスムーズになります。

システムや業務のノウハウを社内に蓄積できる

システムの設計や改修を外部ベンダーに任せきりにすると、システムの仕様や改修の経緯が社内に十分に蓄積されないことがあります。
自社の担当者が開発や保守に関わることで、「なぜこの機能が必要なのか」「どのような考え方で設計されているのか」といった業務とシステム双方の知識を社内に蓄積しやすくなります。

外部ベンダーへの依存を抑えられる

システムに関する知識や開発・改修のノウハウを社内に持つことで、特定の外部ベンダーに依存する状態を抑えられます。
ただし、内製化は外部ベンダーを利用しないことを意味するものではありません。自社で対応する領域と、専門的な知識が必要な領域を整理し、必要に応じて外部の力を活用することが重要です。

継続的なシステム改善につなげやすい

システムは構築・刷新して終わりではなく、稼働後も業務や制度、市場環境の変化に合わせて改修していく必要があります。
自社にシステムを理解し、改善できる体制があれば、現場からの要望や業務上の課題を継続的にシステムへ反映できます。
内製化の価値は、単に外注費を削減することではなく、自社が主体となってシステムを育て、業務の変化に対応し続けられる状態をつくることにあります。

第3章 システム内製化がうまくいかない主な原因

システム内製化は、単に開発作業を社内へ移せば成功するものではありません。目的や対象範囲を十分に整理しないまま始めると、担当者の負担が増え、品質のばらつきや属人化につながり、内製化を継続できなくなることがあります。

基幹システムの具体例

内製化する目的が曖昧になっている

「外注費を減らしたい」「DXを進めたい」といった理由だけで内製化を始めると、何をどこまで自社で担うべきか判断しにくくなります。
業務変更への対応を早めたいのか、システムの知識を社内に蓄積したいのか、外部ベンダーへの依存を抑えたいのかによって、適した内製範囲や体制は異なります。 まずは内製化によって解決したい課題と、目指す状態を明確にすることが大切です。

最初から内製化する範囲を広げすぎる

十分な経験や体制がない段階で、多くのシステムや開発工程を一度に内製化すると、担当者の負担が大きくなります。
その結果、納期を優先して開発ルールやレビューが省略されたり、担当者ごとに異なる方法で開発されたりすることで、品質のばらつきや属人化につながる可能性があります。
自社の人材や経験に合わせて対象を絞り、実績を積みながら段階的に内製範囲を広げることが重要です。

必要な人材やスキルを確保できていない

内製化では、プログラミングなどの開発スキルだけでなく、業務要件を整理する力や、設計、テスト、運用・保守に関する知識も必要です。
一部の担当者だけがこれらの役割を担うと負担が集中し、その担当者が異動・退職した際に開発や保守を継続できなくなるおそれがあります。
不足するスキルをすべて社内だけで補おうとせず、教育や外部ベンダーの支援も活用しながら、組織として必要な知識を蓄積することが大切です。

特定の担当者に開発やノウハウが集中する

内製化によって外部ベンダーへの依存を減らしても、社内の特定担当者だけがシステムを理解している状態では、新たな属人化が生まれます。
担当者ごとに独自の方法で開発したり、仕様や変更内容が共有されていなかったりすると、ほかの担当者が改修や引き継ぎを行うことが難しくなります。
内製化では、個人がシステムを作れることだけでなく、組織として知識や開発方法を共有できる状態をつくる必要があります。

開発ルールや品質管理の仕組みが整っていない

開発を社内で行えるようになっても、設計方法や開発ルールが統一されていなければ、担当者の経験やスキルによって品質に差が生じます。
画面や処理の作り方、命名規則、共通部品の利用方法、レビューやテストの手順などを整理し、一定の品質を保てる仕組みを整えることが重要です。
特に内製化の対象が広がるほど、個人の判断だけに頼らず、組織として開発方法や品質を標準化する必要性が高まります。

開発後の運用・保守まで考えられていない

内製化では、「自社でシステムを作れるようになること」に意識が向きやすい一方、システムは稼働後も継続的に改修していく必要があります。そのため、仕様や設計情報が更新されない、変更履歴が残らない、改修時の影響範囲を把握できないといった状態が続けば、時間の経過とともにシステムが複雑化し、保守しにくくなります。
したがって、開発時の体制だけでなく、稼働後に誰が保守・改善を担い、仕様やノウハウをどのように維持していくかまで考えて内製化を進めることが重要です。

内製化がうまくいかない原因は、一つだけではありません。目的や対象範囲が曖昧なまま進めることで人材への負担が増え、標準化や情報共有が追いつかず、属人化や品質低下につながることがあります。
こうした失敗を避けるためには、自社に適した範囲を見極め、必要な体制やルールを整えながら段階的に内製化を進めることが大切です。

第4章 システム内製化の進め方

システム内製化は、最初からすべてのシステムや工程を自社で担う必要はありません。重要なのは、なぜ内製化するのかを明確にし、自社の人材やスキル、対象となるシステムの特徴に合わせて、内製する範囲を決めることです。
そのうえで、小さな範囲から始め、経験やノウハウを蓄積しながら段階的に対象を広げていきます。

基幹システムの特徴

内製化の目的を明確にする

まず、内製化によって何を実現したいのかを明確にします。例えば、業務変更への対応を早めたい、システムや業務の知識を社内に蓄積したい、外部ベンダーへの依存を抑えたいなど、目的によって必要な内製範囲は異なります。
目的を明確にすることで、「どのシステムを対象にするか」「どの工程まで自社で担うか」を判断しやすくなります。

内製化する対象を決める

次に、どのシステムや業務を内製化するかを決めます。内製化の対象は、単純に「基幹システムか周辺システムか」といった種類だけで判断するのではなく、業務変更の頻度、システムの規模や複雑さ、自社の業務知識、必要な技術、社内で確保できる人材などを考慮して選びます。例えば、業務変更や改善要望が多く、自社の業務知識を生かしやすい領域は、内製化による効果を得やすいと考えられます。
一方、高度な専門技術が必要な領域や、大規模で複雑な開発では、外部ベンダーの支援を活用することも選択肢になります。

工程ごとに内製する範囲を決める

内製化は、システム全体を「自社開発」か「外部委託」かのどちらかに分ける必要はありません。企画や要件定義は自社が主体となり、設計や開発は外部ベンダーと共同で行う、稼働後の改修は自社で対応するなど、工程ごとに役割を分ける方法もあります。
自社がどの工程に主体的に関わるかを整理し、現在のスキルや体制に合った範囲から内製化することが重要です。

自社と外部ベンダーの役割を整理する

内製化は、外部ベンダーを利用しないことを意味するものではありません。自社だけでは対応が難しい専門領域や、大規模な開発では外部の知識や経験を活用しながら、自社側でもシステムの目的や仕様を理解し、判断できる状態を保つことが大切です。
また、外部ベンダーへ開発を依頼する場合でも、仕様や設計情報、改修のノウハウを社内に残し、特定のベンダーに依存しすぎない体制を整える必要があります。

小さな範囲から内製化を始める

内製化の経験が少ない段階で対象を広げすぎると、担当者の負担が増え、品質や納期への影響も懸念されます。そのため、まずは比較的影響の小さいシステムや機能、改修作業などから始め、実際の開発を通じて必要なスキルや課題を確認します。
小さな成功を積み重ねることで、社内にノウハウを蓄積し、内製化に必要な開発方法や体制を整えやすくなります。

開発ルールや体制を整える

内製化する対象が広がるほど、担当者ごとの経験や判断だけに頼ることが難しくなります。
設計や実装の方法、共通部品の利用方法、レビューやテストの手順、仕様・設計情報の管理方法などを整理し、組織として共通のルールを整えることが重要です。あわせて、誰が開発を担当し、誰がレビューや品質管理を行うのかなど、役割を明確にします。

ノウハウを蓄積しながら内製範囲を広げる

内製化は、一度体制を整えれば完了するものではありません。実際の開発や保守を通じて得たノウハウを共有し、人材のスキルや開発体制の成熟度に合わせて、対象となるシステムや工程を段階的に広げていきます。
例えば、最初は軽微な改修から始め、周辺システムの開発、基幹システムの一部機能へと対象を広げる方法があります。また、要件定義から始めて、設計、開発、保守へと自社で担う工程を増やしていく方法もあります。
内製化では、最初から完全な自社開発を目指すのではなく、自社が主体となる範囲を明確にし、無理のない形で継続的に広げていくことが重要です。

第5章 システム内製化を継続するためのポイント

システム内製化は、自社で開発できるようになれば完了するものではありません。業務やシステムは継続的に変化するため、担当者が変わっても一定の品質で開発・保守を続けられる体制を整えることが大切です。
特に注意したいのが、外部ベンダーへの依存を減らした結果、社内の特定担当者に知識や開発作業が集中してしまうことです。内製化を継続するためには、個人のスキルや経験だけに頼らず、組織として知識や開発方法を共有し、継続してシステムを改善できる仕組みを整える必要があります。

基幹システムの課題

特定の担当者に依存しない体制をつくる

内製化では、業務やシステムに詳しい担当者へ開発・保守が集中しやすくなります。ゆえに、特定の担当者しか仕様や改修方法を理解していない状態では、その担当者の異動や退職によって、システムの保守や改善が困難になる懸念があります。
そのため、一人だけがシステムを理解するのではなく、複数の担当者が仕様や改修内容を把握し、開発や保守に関する知識をチームで共有できる体制をつくることが重要です。

開発方法やルールを組織で共有する

担当者ごとに設計や実装の方法が異なると、内製化の対象が広がるにつれて、ほかの担当者が作ったシステムを理解・改修することが難しくなります。画面や処理の作り方、命名規則、共通部品の利用方法、レビューやテストの手順などについて、組織として共通の開発方法を整えておくことが重要です。
共通の方法で開発できれば、担当者が変わった場合でも、既存システムの考え方を理解しやすくなります。また、新しい担当者も既存のルールに沿って開発へ参加しやすくなり、特定の担当者への依存を抑えることにつながります。

品質を組織として維持する

内製化では、開発スピードだけでなく、担当者が増えても一定の品質を維持できる体制が必要です。個々の担当者だけの判断で開発を進めるのではなく、レビューやテストを行う役割や手順を決め、複数の担当者で品質を確認できる仕組みを整えます。
特に、内製するシステムや開発担当者が増えるほど、個人の経験やスキルだけに品質を依存させず、組織として確認・改善できる体制をつくることが重要です。

仕様・設計情報を組織で共有できる状態を維持する

システムの仕様や設計情報が更新されないまま改修を重ねると、時間の経過とともに「現在の仕様が分からない」状態になり、再び特定の担当者へ知識が集中しかねません。仕様書や設計書、変更内容などを改修に合わせて更新し、担当者間で共有できる状態を維持することが重要です。
また、どの機能やデータがどこで利用されているのかを確認できる状態にしておけば、熟練した担当者の経験だけに頼るのではなく、ほかの担当者も変更による影響を確認しながら改修を判断しやすくなります。
仕様や変更に関する知識を個人の頭の中だけに残さず、組織で参照できる状態をつくることが、担当者交代や技術継承にもつながります。

人材育成と技術継承を継続する

内製化を長く続けるには、現在の担当者だけでなく、次に開発や保守を担う人材を育てることが大切です。研修だけでなく、実際の開発や保守を複数人で経験し、設計やレビューの考え方、業務知識などを共有することで、組織としてノウハウを蓄積していきます。
担当者の異動や体制変更があっても開発を継続できるよう、日頃から知識を共有し、技術を引き継げる状態をつくる必要があります。

必要に応じて外部ベンダーを活用する

内製化を継続するために、すべての技術や開発を自社だけで担う必要はありません。高度な専門知識が必要な領域や、一時的に開発規模が大きくなる場合などは、外部ベンダーの支援を活用することも有効です。
その際も、開発を任せきりにするのではなく、自社側でも仕様や設計の考え方を把握し、必要な知識を社内へ残すことで、自社主体の体制を維持しやすくなります。

継続的に改善できる体制をつくる

内製化の目的は、自社でシステムを作ることだけではなく、業務の変化に合わせて継続的にシステムを改善できる状態をつくることです。稼働後に寄せられる改善要望を整理し、優先順位を付けて改修する仕組みや、変更した仕様・ノウハウを共有する仕組みを整えることで、担当者が変わっても改善を継続しやすくなります。
個人のスキルに頼るのではなく、開発方法、品質管理、情報共有、人材育成を組織の仕組みとして維持することが、持続的な内製化につながります。

第6章 内製化を支える開発基盤の役割と選び方

システム内製化を継続するには、人材や体制を整えるだけでなく、担当者が変わっても、組織として同じ方法で開発・保守を続けられる環境を整えることが重要です。
例えば、担当者ごとに異なる方法で開発していると、内製化の対象が広がるにつれて、ほかの担当者がシステムを理解・改修することが難しくなります。また、仕様や変更内容を担当者個人が管理していると、その担当者の異動や退職によって、再びシステムが属人化する可能性があります。
こうした課題を人やルールだけで管理するのではなく、共通の開発方法や部品、仕様情報などを組織で共有できる仕組みとして支える役割を持つのが開発基盤です。
内製化を支える開発基盤を選ぶ際は、「簡単にシステムを作れるか」だけではなく、複数の担当者が開発へ参加できるか、担当者が変わっても保守・改善できるか、自社と外部ベンダーで共通の開発方法を利用できるか、といった視点で検討することが大切です。

開発担当者が習得しやすいか

内製化を進めるには、社内の開発担当者が開発基盤を理解し、実際の開発や保守に活用できることが前提になります。特定の高度なスキルを持つ担当者しか扱えない開発基盤では、外部ベンダーへの依存を減らしても、社内の別の担当者への依存が生まれる可能性があります。
開発方法が共通化されているか、担当者が同じ手順を身につけやすいか、教育やサポートを受けられるかなどを確認し、複数の担当者が開発・保守へ参加できる環境をつくれるかという視点で選ぶことが重要です。

複数の担当者が共通の方法で開発できるか

複数の担当者が開発する場合、それぞれが独自の方法で設計・実装すると、担当者が変わるたびにシステムの理解や引き継ぎが難しくなります。
画面や処理の作り方、共通部品の利用方法などを一定の方法にそろえられる開発基盤であれば、担当者ごとの実装方法の違いを抑えやすくなります。これは品質のばらつきを抑えるだけでなく、ほかの担当者が作ったシステムを理解し、改修へ参加しやすくすることにもつながります。
内製化では、特定の開発者の経験やスキルだけに依存せず、組織として共通の開発方法を維持できることが重要です。

個別の業務要件にも対応できるか

内製化の対象が基幹システムや企業独自の業務まで広がると、標準的な機能だけでは対応できない要件が発生することがあります。そのため、共通的な部分は標準機能や部品を利用しながら、必要に応じて独自の業務ルールや複雑な処理を追加・拡張できることも確認する必要があります。
なぜなら、標準機能で対応できないことを理由に、その都度別の開発方法やツールへ切り替えると、社内で扱う技術や開発方法が増え、かえって内製化の負担が大きくなるおそれがあるためです。共通の開発方法を維持しながら、必要な部分だけ柔軟に拡張できることが、内製化の対象を無理なく広げるうえで重要です。

担当者が変わっても仕様や変更内容を把握できるか

内製化したシステムも、稼働後は業務や制度の変化に合わせて継続的に改修されます。改修を重ねる中で、現在の仕様や変更内容が特定の担当者しか分からない状態になると、外部ベンダーへの依存を減らしても、社内で新たな属人化が生まれます。そのため、仕様・設計情報を継続的に維持し、複数の担当者が確認できることが重要です。
また、変更しようとしている項目やデータがどこで利用されているかを確認できれば、過去からシステムを担当している熟練者の経験だけに頼らず、ほかの担当者も変更による影響を確認しながら改修を判断しやすくなります。
こうした情報を組織で共有できることは、担当者交代時の引き継ぎや技術継承にも役立ちます。

開発担当者が変わっても保守・改善を続けられるか

内製化は、システムを自社で構築できるようになることだけが目的ではありません。稼働後も業務変更や機能追加、障害対応などを行いながら、継続的にシステムを改善していく必要があります。そのため、構築時だけ利用する開発環境ではなく、稼働後の保守・改修にも継続して利用できることが重要です。
また、開発基盤そのものを長期的に利用できることや、技術環境の変化に対応できることも、担当者や組織体制が変わっても同じ開発方法を引き継いでいくための重要な条件になります。

自社と外部ベンダーが同じ方法で開発できるか

内製化では、すべてを自社だけで開発するとは限りません。大規模な開発や専門性が必要な領域では外部ベンダーの支援を受け、稼働後の改修は自社で行うなど、自社と外部ベンダーが役割を分担することもあります。そのため、自社とベンダーが同じ開発基盤や開発方法を共有し、ベンダーが構築したシステムを自社側でも理解・改修できることが大切です。
「ベンダーが作ったものを受け取る」のではなく、自社とベンダーが共通の仕組みの上で開発し、必要な知識を自社へ残せるかという視点で開発基盤を選ぶ必要があります。

楽々Framework3を活用したシステム内製化

楽々Framework3は、基幹システムや周辺システムの開発から、稼働後の保守・改善まで継続して利用できるローコード開発基盤です。

内製化において重要なのは、特定の担当者だけがシステムを開発できる状態をつくることではなく、複数の担当者が共通の方法で開発し、担当者が変わってもシステムを理解・改善できる状態をつくることです。
楽々Framework3では、GUIを中心とした共通の開発方法と、住友電工グループの開発ノウハウを組み込んだ標準部品を利用します。担当者ごとの実装方法の違いを抑えることで、複数人で開発する場合でも、共通の考え方や方法で開発を進めやすくなります。
また、標準機能だけでは対応できない企業固有の要件については、Java、JavaScript、HTML、CSSなどによる機能拡張が可能です。共通的な部分では標準の開発方法を利用しながら、必要な部分だけ個別に拡張できるため、対象システムが広がっても同じ基盤を利用し続けることができます。

さらに、実際のシステムから仕様書を生成する機能を利用することで、仕様や設計情報を担当者個人の知識だけに頼らず、組織で共有・引き継ぎやすくなります。
影響分析では、変更する項目やテーブルがどのプログラムで利用されているかを確認できます。これにより、長年システムを担当している熟練者の経験だけに頼るのではなく、新しい担当者も影響範囲を確認しながら改修を検討しやすくなります。

このように、楽々Framework3は単に開発を効率化するだけではなく、共通の開発方法、仕様・ノウハウの共有、技術継承、自社とベンダーの共同開発、稼働後の継続改善を同じ基盤で支えることで、組織として内製化を継続しやすい環境づくりを支援します。

第7章 まとめ

システム内製化は、すべてのシステムや開発工程を自社だけで担うことではありません。自社の目的や人材、対象となるシステムの特徴を踏まえ、どこまでを自社で担い、どこから外部の支援を活用するかを整理することが重要です。
内製化を進める際は、最初から対象を広げすぎず、小さな範囲から始めて経験やノウハウを蓄積しながら、段階的に内製範囲を広げていくことが成功につながります。

また、内製化を継続するためには、人材やスキルだけに頼るのではなく、開発方法の標準化や品質管理、仕様・設計情報の共有など、担当者が変わっても開発・保守を続けられる仕組みを整えることも大切です。
内製化の目的は、自社でシステムを開発することそのものではありません。自社がシステムや業務を理解し、業務の変化に合わせて継続的に改善できる状態をつくることが、持続的なシステム内製化につながります。

平河 拓郎

執筆者:平河 拓郎

住友電工情報システム株式会社
ビジネスソリューション事業本部 第一システム開発部
シニアマネージャー シニア・テクニカル・コンサルタント

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