山崎製パン株式会

山崎製パン株式会社

2,000万円規模の開発をわずか3名で内製化し、
85%のコスト削減を実現
楽々Framework3導入で得た内製開発力でDXを推進

食パン「ダブルソフト」「ロイヤルブレッド」などで知られる山崎製パン株式会社(以下、山崎製パン)は、2022年にDX推進を目的とする「内製開発強化プロジェクト」を開始。ローコード開発ツール「楽々Framework3」を導入し、内製開発体制を確立した。これにより、老朽化したJavaシステムのリプレイスを自社内で実現し、外注費に換算して約1,700万円を削減。さらに、アルバイトシフト申請システムの内製開発によって、1工場あたり月約93時間の業務削減も達成している。

DX推進を目的に内製開発体制の確立を目指す
複数チームを組成し、プロジェクトを始動

「ダブルソフト」「ロイヤルブレッド」などのパン製品やコンビニエンスストア「デイリーヤマザキ」で広く知られる山崎製パン。国内に10万か所以上の販売店舗を展開し、製造工場を北海道から九州まで全国各地に有する、日本の食卓を支える代表的な製パンメーカーである。

同社は2022年5月、部門横断による「内製開発強化プロジェクト」を始動。ローコード開発ツール「楽々Framework3」を導入し、新規システムの内製開発などを手がけている。この取り組みに至った経緯について、プロジェクトに参画した計算センターシステム開発課の薬師川靖氏は振り返る。

「プロジェクトの目的はローコード開発、ノーコード開発、BIツール、仮想化基盤といった領域で内製開発体制を確立し、DXを推進することにありました。具体的には、領域ごとにチームが組成され、標準ツールの選定や社内ルール、教育カリキュラムの整備を進めることになっていたのです。私はローコード開発チームに配属され、同僚2名とともに内製開発体制の確立に向けて動き出しました」(薬師川氏)。

各チームの人員は3~4名程度。専任の担当者はおらず、他の業務と並行で取り組まなければならないため、メンバーには、プロジェクトの効率的な推進が求められていた。

競合製品との比較で楽々Framework3がすべての項目を上回る
ハンズオン研修を活用し、盤石な導入体制を構築

プロジェクトに先立ち、薬師川氏らはローコード開発の標準ツールとなる製品を選定した。要件は「可能な限りコードを書かずに内製開発できること」「初心者でもわかりやすいUIであること」「費用対効果が見合うこと」の3点。チームのリソースは限られており、過去に高機能なローコードツールを導入したものの定着せずに廃止に至った経緯もあったことから、シンプルで扱いやすい製品を求めていた。特に属人化を避けるには、誰が使っても理解しやすい明快なUIが欠かせなかった。

こうした要件のもと選ばれたのが楽々Framework3である。薬師川氏らは楽々Framework3ともう1製品を比較検討し、「適合性」「将来性」「経済性」といった項目で5段階評価を実施。その結果、すべての項目で楽々Framework3が他製品を上回った。

山崎製パンはこうして楽々Framework3を採用し、導入作業へと移行。その際にはプロジェクト体制の構築が慎重に整備された。薬師川氏はその詳細を次のように説明する。

「導入時には、楽々Framework3の仕様や開発方法を理解するために、複数の手段で知識習得を行いました。例えば、プロジェクトメンバーでハンズオン研修を受講し基礎的な内製開発手法を学んだほか、その後にはオンサイトサポートを利用してさらに細かい知識を得ています。ハンズオン研修は、実際にシステムを内製開発しながら学べるため、実践的な知識を養う上で非常に有益でした。また、楽々Framework3は仕様などに関する『逆引き辞書』も提供しており、これらを併用することでさらに効率的な学習が可能です。プロジェクトでは効率的な内製開発が求められていたため、事前に製品の基礎知識を習得できるサポートはとても心強く感じました」(薬師川氏)。

さらに薬師川氏らは、学習を通じて得た知識を共有し、チーム内でナレッジ化したほか、事前に開発ルールを整備して内製化に向けた導入作業の標準化も図った。こうした取り組みが功を奏し、山崎製パンは順調にプロジェクトを推進していった。

楽々Framework3による内製開発が次々と成功
老朽化したシステムの刷新を自前の人員とリソースのみで達成

楽々Framework3の導入後、山崎製パンは複数の内製開発を実現している。その一つがアルバイトシフトシステムの新規開発だ。従来、山崎製パンの工場ではアルバイト従業員によるシフトの申請を紙の申請書や電話で受け付けていた。それでは手書きによる記入や申請のキャンセルの手間が生じることに加え、申請を受ける人事課にも申請書の処理やExcelへの転記などの煩雑な作業が発生する。こうした作業は業務効率化のボトルネックになっており、残業時間の増加にも繋がっていた。

そこで山崎製パンでは楽々Framework3を用いてアルバイトシフトの申請や受付を行う新規システムを内製開発。3名のメンバーにより約6か月間でシステムをカットオーバーした。この際に注力したポイントとして、計算センターシステム開発課の堤龍矢氏は「ITスキルが高くない従業員でも便利に利用できる画面を目指しました」と話す。

「アルバイトシフトシステムはユーザがスマートフォンからログインして利用する仕様でした。ただ、アルバイト従業員の年齢層は幅広く、なかにはスマートフォンの操作に慣れていない方もいます。そのため、ITスキルに関わらずスムーズに操作できる画面デザインが必須でした。その点、楽々Framework3は「表示コンポーネント」の機能でカレンダーを画面内に組み込めるため、容易に画面を作成できます。さらに、CSSやJavaプラグインによる修正も可能なため、直感的にわかりやすい画面を作成できました。リリース後のユーザからの評判は高く、「操作が簡単で便利」という声も届いています」(堤氏)。

アルバイトシフトシステムの内製開発により、従来のシフト申請にまつわる業務は大幅に効率化。紙の申請書や電話による受付は不要になり、人事課の業務負担も軽減した。このリリースにより、山崎製パンでは人事課の業務負担が1工場あたり約93時間/月削減されている。

アルバイトシフト申請システムの画面開発例

さらに、大きなインパクトを与えたのが老朽化していたJavaシステムのリプレイスだ。山崎製パンでは10年ほど前に構築したJavaベースのシステムが、サーバの保守切れを迎えていた。このシステムはInternetExplorerのみ使用でき、マルチブラウザへの対応が急務であったことから、内製化によるリプレイスに取り組んだ。

この際も楽々Framework3の多彩な機能群が内製開発の効率化を後押ししている。その一つが「テーブル定義逆生成機能」だ。Javaシステムはカラム数が150を超えるテーブルが4つ存在し、リプレイスにあたってのデータベースの定義に膨大な手間が予想された。しかし、楽々Framework3は既存のデータベースをもとにFDファイル(テーブル定義情報)を自動生成する「テーブル定義逆生成機能」を利用できるため、開発工数は大幅に削減された。

テーブル定義逆生成機能の活用例

こうして堤氏らは、他の業務と並行しながら約10か月間でJavaシステムのリプレイスを完了。当初、この開発を外部委託した場合には約2,000万円の費用が想定されたが、山崎製パンは内製開発によりリプレイスを実現した。事実、この開発に要したコストは人件費のみの約300万円であり、外部委託した場合と比較して、約1,700万円の費用を削減、削減率は85%に達している。

今後はDXの波を全国の拠点に広げていく
高度なスキル不要の操作性が楽々Framework3の最大の強み

楽々Framework3の導入により、ローコード開発の内製開発体制を確立した山崎製パン。DXを継続的に進めるには、外部委託に頼らず自社で柔軟に内製開発できる体制が欠かせない。同社の内製化はまさにその基盤を築くものであり、DX推進の根幹を成している。現在はすでに2つのシステム開発が進行しており、その成果を今後は全国の拠点へ広げていく計画だ。こうした取り組みにより、全社的な業務効率化とDX推進をさらに加速させていく。堤氏は楽々Framework3の利便性を高く評価し、今後の内製開発でも積極的に活用していきたいと語った。

「私がとくに印象的だったのは、Javaのプラグイン開発が想定よりも容易だったことです。楽々Framework3にはJavaのコードの雛形が用意されているため、必要な箇所を記述するだけで十分でした。高度なスキルがなくても理想の内製システムを実現できるのは、楽々Framework3の際立った強みだと思います」(堤氏)。

「いつも、そばにあるおいしさ。」を掲げる山崎製パン。その価値を生み出す基盤を、楽々Framework3で構築した内製開発体制がしっかりと支えている。

山崎製パン株式会社 計算センター システム開発課
左)薬師川 靖 氏
右)堤 龍矢 氏

山崎製パン様のホームページ

  • 本事例中に記載の組織名や肩書、数値、固有名詞等は「楽々イノベーション・フォーラム 2025」(2025年6月)講演時点の情報です。

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