国立研究開発法人科学技術振興機構
「信頼性」と「安定性」に優れた楽々WorkflowII を採用
約160種類の申請書を9か月で移行し、新たな申請基盤に
文部科学省所管の国立研究開発法人である科学技術振興機構(以下、JST)は、JSTが運用するグループウェアの更改プロジェクトに伴い、長年の課題を抱えていたワークフローシステムのリプレイスを決定。セキュリティ強化のためゼロトラストモデルを採用し、新たなシステムとして楽々WorkflowIIを導入した。9か月間のプロジェクトを通じて約160種類の申請書の移行を行った。これにより、「起動が遅くタイムアウトも頻繁に発生する」、「検索機能の利便性が低く業務に活用しにくい」といった従来の課題を解消し、効率的かつ安定的に申請業務を行える環境を構築した。JSTは楽々WorkflowIIの信頼性と安定性を高く評価し、今後も利用範囲の拡大を見込んでいる。
目次
ゼロトラストモデル採用と同時に
検索性に難があるワークフローシステムを刷新し、
利便性と生産性の向上を図る
文部科学省所管の国立研究開発法人であり、日本における科学技術・イノベーションの政策推進を担うJST。数多くの先端研究や技術開発に関与するJSTにとって、研究セキュリティの確保は重要な施策の一つ。そのため、JSTはゼロトラストモデルを採用し、ネットワークセキュリティの強化を進めている。2024年にはグループウェアの更改にあたって、ゼロトラストを基盤としたシステム構成を採用した。
この更新に伴い、JSTは既存のグループウェア上で運用していたワークフローシステムを廃止し、新たな製品にリプレイス。導入されたのが楽々WorkflowIIだった。デジタル改革統制部OA環境グループシステム担当の青柳陽一郎氏は、導入経緯について次のように説明する。
「以前のワークフローシステムには、いくつかの大きな課題がありました。たとえば、『申請画面の起動が遅く、タイムアウトも頻繁に発生する』点です。起動には1~2分ほどかかり、軽微な申請の承認にも数分を要することがありました。さらに、『検索機能の利便性が低く、業務に活用しにくい』点も問題でした。以前のワークフローシステムはファイルを横断した検索ができず、過去の申請書を探す際には、一つひとつのファイルを開いてそのなかで文書を検索する必要がありました。このような問題は職員たちの不満や業務効率の低下にも繋がっていたため、グループウェアの更改を機に新たなワークフローシステムへの移行を決断しました」(青柳氏)。
「純国産製品」と「豊富な導入実績」が評価の決め手
楽々WorkflowIIの移行機能を活用し、導入を効率化
ワークフローシステムのリプレイスを進めるにあたり、JSTはまずグループウェアの更改プロジェクトの入札に向けた機能仕様書を作成した。ゼロトラストに関する事項に加え、ワークフローシステムの検索性の高さや、申請書・経路をGUIで簡単に作成できることも要件に盛り込み、従来の課題解決も視野に入れた。
その結果、楽々WorkflowIIを含むシステム構成を提案したSIerの案が採択された。楽々WorkflowIIはGUIによる直感的な操作で申請書を作成でき、メンテナンス性に優れている。さらに、スマートフォンでも利用可能な点、オプションで全文検索機能を備えており検索が優れている点でも高く評価された。
デジタル改革統制部OA環境グループ主任専門員の古川博之氏は、楽々WorkflowIIに大きな期待を感じたと振り返る。
「さまざまなワークフローシステムを比較検討するなかで、楽々WorkflowIIは優れた製品という印象がありました。それはメンテナンス性の高さや利便性の高い各種機能だけでなく、『信頼性』においても高く評価していました。純国産製品であり、多くの組織で導入実績があります。さらに、リリースから20年の実績があり、システムの安定的な提供体制についても申し分ありません。この製品ならば、従来の課題を解決しつつ、安定的にシステムを運用できると、採択当時から期待を持っていました」(古川氏)。
こうして楽々WorkflowIIの導入を決定したJSTは、グループウェアの更改プロジェクトに着手する。当初、想定したプロジェクトのスケジュールは約9か月間。楽々WorkflowIIだけでなく、その他の関連システムやネットワーク構築も同時並行で進める必要があるため、更改プロジェクトでは効率的かつスムーズな進行が求められた。その際、楽々WorkflowIIの特性が作業の効率化に大きく貢献した。
まずは、既存の申請書を移行する作業だ。JSTでは、既存のワークフローシステムで約160種類の申請書を運用していたため、移行作業には膨大な手間が予想されていた。しかし、楽々WorkflowIIの優れたGUIにより申請書が容易に作成できただけでなく、申請書をコピーして作成できる機能を活用したことで、作業は大幅に短縮された。2名の担当者で約160種類の申請書をスケジュール通りに移行できた。
次に、ワークフローシステムの本番環境を構築する場面においては、設定情報をエクスポート/インポートできる楽々WorkflowIIの移行機能を活用した。

具体的には、楽々WorkflowIIのサーバ構築や設定構築に要する期間を有効利用して、まず住友電工情報システムが貸し出した楽々WorkflowIIの評価環境において、申請書や承認経路の設定作業を先行して実施した。その後、楽々WorkflowIIのエクスポート機能を用いて評価環境の設定情報を抽出。準備が完了した楽々WorkflowIIの開発環境に、インポート機能を用いて環境を移行、新たな申請書や承認経路の確認作業を行った。最後に、開発環境の設定を本番環境の楽々WorkflowIIにインポートした。このように楽々WorkflowIIの移行機能を効果的に活用することで、本番環境での設定作業は最小限に抑えられた。
JSTはグループウェアの更改プロジェクトを順調に進め、予定通り2024年9月に新たなグループウェアを導入し運用を開始。それに伴い、新たなワークフローシステムである楽々WorkflowIIの運用も開始した。
全職員に楽々WorkflowIIを展開し、
新たな申請基盤を確立
充実した各種機能が申請業務の効率化を強力に推進
現在、JSTでは約220の部署、2000名以上の全職員が楽々WorkflowIIを利用している。既存のワークフローシステムで運用されていた申請書はすべて移行され、他システムとの連携も従来と同様の形で実現している。具体的には、アカウント管理システムとの間でCSV連携を実装し、双方向のデータ連携を行っている。アカウント管理システムから楽々WorkflowIIへは人事組織情報をCSVで連携し、楽々WorkflowIIからアカウント管理システムへは採用申請などの人事系申請が決裁後にCSV連携され、アカウント管理システムに取り込まれる仕組みだ。

さらに、楽々WorkflowIIの導入により、従来のワークフローシステムが抱えていた課題も大幅に改善された。その状況について、デジタル改革統制部OA環境グループシステム担当の金矢茉央氏と米田将人氏は解説する。
「メール通知のURLをクリックすればすぐに承認ページに遷移できるため、システムの起動に手間取ることなく、スムーズに承認作業を行えます。また、全文検索機能を備えているため、業務に必要な文書もすぐに閲覧できます。以前のワークフローシステムでは、ファイルを一つひとつ開いて、そのなかから文書を探さなければいけなかったのですが、それと比べて、効率性や利便性が飛躍的に向上しました」(金矢氏)。
「メンテナンス性も極めて優れていると感じます。とくに、GUI設定の機能は非常に使い勝手がよいですね。直感的な操作で申請書のフォームや承認経路を改修できるため、必要に応じて手軽に修正を行えます。最近は『ローコードツール』が注目を集めていますが、楽々WorkflowIIはその利点を最大限に発揮できる製品ではないでしょうか」(米田氏)。
楽々WorkflowIIの運用開始から現在まで、米田氏ら運用担当者のもとに職員たちからの不満の声はほとんど寄せられていない。その高いユーザビリティがシステムの定着を促し、職員たちに好意的に受け入れられた結果といえるだろう。
別システムの業務を統合し、利用範囲拡大を計画
次期更改後も利用継続し、長期的な運用を視野に
JSTは今後、楽々WorkflowIIの利用範囲をさらに拡大する計画を立てている。その構想について、デジタル改革統制部OA環境グループ調査役の山本欣司氏は次のように語る。
「現在、JSTでは楽々WorkflowIIとは別に法人文書の決裁システムを運用しているのですが、このシステムで回付している一部の申請書を楽々WorkflowIIに移行する計画があります。今後も、ワークフロー化が可能な業務を取り込みながら、楽々WorkflowIIの利用範囲を拡大し、組織全体の生産性向上と業務効率化をさらに押し進めていきたいと考えています」(山本氏)。
JSTは2028年に再びグループウェアの更改を予定している。現在のところ、楽々WorkflowIIの機能性や信頼性を高く評価し、次期更改後も引き続き利用を継続する意向だ。日本の科学技術の発展を担うJSTの組織基盤を、今後も楽々WorkflowIIが支えていくことになるだろう。

OA環境グループ
調査役 山本 欣司 氏

古川 博之 氏

青柳 陽一郎 氏

米田 将人 氏

金矢 茉央 氏