サントリーシステムテクノロジー株式会社

サントリーシステムテクノロジー株式会社

業務のペーパーレス化にも楽々Framework3を活用

サントリーグループのペーパーレス化を支えた
楽々Framework3による「超高速開発/ローコード開発」

サントリーグループのIT機能会社であるサントリーシステムテクノロジー株式会社(以下、サントリーシステムテクノロジー)は、社内業務システムの開発工数短縮を目指し、楽々Framework3(以下 楽々FW3)を導入。開発方法の標準化などを通じて、導入効果の引き上げを図り、平均開発工数を13%短縮した。さらに、コロナ禍以前から取り組む業務のペーパーレス化にも楽々FW3を活用し、約20人月の工数削減と1ヶ月以上のプロジェクト早期化を実現した。

新技術開発にリソースを捻出するため、楽々Framework3を活用した既存業務の負担軽減を計画

サントリーシステムテクノロジーは、サントリーグループのIT戦略立案・実行を担うIT機能会社だ。1990年、京都発のITベンチャーとして出発した同社は、その先進性を評価されて当時のサントリー株式会社から出資を受け、現在では世界285社、従業員4万人超を擁するサントリーグループの巨大な情報システムを一手に担っている。

同社が楽々FW3を導入したのは2015年。サービス開発部の澤越侑矢氏は、その背景に「新技術の導入がなかなか進まない」という課題があったと振り返る。

「当時、当社は人的なリソース不足から、AIやIoTといった新技術に十分に取り組めていませんでした。そのため、基幹業務システムの開発など、既存業務にかけていたリソースを削減し、新技術導入に移管する計画を立てました。しかし、それには各案件の開発工数の短縮が必要不可欠でした」(澤越氏)。

サントリーシステムテクノロジーは、既存業務の開発工数を短縮するため、新たな開発フレームワークの導入を決める。サービス選定にあたっては4製品での比較検討を実施し、「カスタマイズ性」「GUIの充実」「グループのシステム環境との親和性」など複数の項目で各製品を評価した。その結果、最も高い評価を得たのが楽々FW3だった。

澤越氏は、楽々FW3を選定した決め手として「開発工数の大幅な短縮が期待できたこと」を挙げる。楽々FW3はノーコードで画面作成が可能なほか、仕様書の自動生成など、開発の生産性向上を実現する各種機能を揃えている。導入に先立って、楽々FW3の導入効果を中規模以上のシステム開発で検証したところ、開発工数の16%短縮が見込める検証結果となった。既存業務の負担軽減を目指す同社にとって、楽々FW3は正に望み通りの製品だった。

開発工数の短縮を阻む「三つの問題点」
開発方法の標準化などを通じ、導入効果の引き上げを図る

しかし、導入直後、サントリーシステムテクノロジーは予期せぬ壁に直面する。楽々FW3を既存業務に適用したものの、事前に想定したとおりの導入効果が得られなかったのだ。そこには三つの問題点があった。

「一つ目の問題点は、画面レイアウトです。サントリーグループでは、グループ標準の画面レイアウトを用いているのですが、その画面レイアウトを楽々FW3で再現するには工数がかかり、かえって開発者の負担を増やしていました。二つ目の問題点は、開発方法の不統一です。導入当初、当社では開発方法を標準化していなかったため、開発者ごとに設計や実装の手法がバラつき、生産性の低下や品質悪化の要因になっていました。そして、三つ目が研修環境の不整備です。開発方法を習得する環境を整えていなかったため、初心者は楽々FW3に慣れるまでにかなりの時間が必要でした。これらの問題点は、いずれも開発工数の短縮を阻害しており、当社では、しばらくの間、事前に想定した導入効果を出せずにいました」(澤越氏)。

先に挙げた三つの問題点の解消のため、まず、取り組んだのは既存の画面レイアウトの変更だった。同社はボタンや検索条件の位置などを調整し、楽々FW3で実装しやすい画面レイアウトを作成。それを標準化することで、開発工数の削減を図った。

また、開発方法を標準化するため、楽々FW3の標準化ポータルを作成し、そこに楽々FW3の基本的な情報から、要件定義・基本設計の進め方、設計書の標準フォーマット、実装・単体テストの方法まで、開発に必要なあらゆる情報を集約した。さらに、過去の開発で実装した技術の一覧表を作成することで、開発者が情報収集のために費やす時間の削減を図った。

標準化ポータルの画面
標準化ポータルの画面。開発前から実装までに必要なあらゆる情報が集約されている。

そして、最後に、研修環境の整備も実施した。データベースや画面の設計方法、プラグインの追加方法などを体系的に整理し、研修プログラムとして一覧化することで、初心者でもスムーズに開発が進められる環境を構築した。

これらの取り組みを通じて、サントリーシステムテクノロジーは開発工数の短縮を推進し楽々FW3の導入効果を着実に引き上げていった。

楽々Framework3で平均開発工数を13%短縮し、グループのペーパーレス化プロジェクトを成功に導く

楽々FW3の導入効果については、平均開発工数は導入以前に比べ、約13%の短縮。マスタメンテ画面の開発に限れば、開発工数は約25%短縮された。これにより、当初の目標であった、既存業務の負担軽減が大幅に推進されている。

さらに、楽々FW3は、サントリーグループ全体にも大きな成果をもたらした。2019年、サントリーグループはペーパーレスプロジェクトを開始する。ペーパーレスプロジェクトは、社内業務のペーパーレス化を推進するため、契約書の作成から社内稟議、捺印、文書管理、支払いといった一連の業務を、全てオンライン化するプロジェクトだ。このプロジェクトのシステム開発において楽々FW3が重要な役割を担った。

「例えば、契約書をレビューするチャットシステムは楽々FW3で開発されています。以前、契約書を作成する際、作成者は法務部門にメールで契約書のレビューを依頼していました。しかし、それでは修正のやり取りが何度も発生してしまい、完成までにかなりの手間を要してしまいます。そこで、契約書のレビュー専用のチャットシステムを開発し、契約書作成の円滑化を図りました。そのほか、社内稟議から支払いまでのワークフローは電子決裁システム『楽々WorkflowII』で構築し、楽々WorkflowIIから呼び出される各種マスタ情報の参照ウインドウ、マスタメンテナンス画面は楽々FW3で開発しています」(澤越氏)。

2020年6月、ペーパーレスプロジェクトは予定のスケジュールよりも1ヶ月以上早く完了を迎えた。楽々FW3による開発がプロジェクトの早期完了を促した形だ。サントリーシステムテクノロジーの試算によれば、ペーパーレスプロジェクトのプロジェクト規模は100人月を超える規模であり、事前想定よりも約20人月の工数が削減されている。

標準化ポータルの画面
ペーパーレスプロジェクトは予定よりも1ヶ月以上早期化。
楽々Framework 3により詳細設計や実装・単体テストの工数が大幅に削減された。

また、プロジェクト後のペーパーレス化による効果も大きい。ペーパーレスプロジェクトにより、サントリーグループでは紙の契約書の電子化や文書管理のための捺印簿の廃止を進めており、契約書の紙代、印紙代、郵送代の削減、年間10万時間超の業務削減が実現している。さらに、ペーパーレス化は国内グループ社員約1万人の在宅勤務を可能にし、コロナ禍への速やかな対応を実現した。こうした成果は社内外から大きな注目を集め、TVの地上波ニュース番組や大手新聞、ビジネス専門誌など、数々の媒体で取り上げられた。

開発を超高速化するためには「標準化」が必要不可欠
モックアップ機能などを活用し、効率的な開発を

一連の取り組みを振り返り、澤越氏は「開発方法の標準化」の重要性を強調する。
「楽々FW3は汎用性が高い一方で、その分、設定可能な箇所が多い製品でもあります。そのため、システムに不具合が発生したときに、どの設定が問題なのかを特定するのに時間がかかってしまうこともあります。そこで、当社では、標準の設計書の作成や、テストの工程を詳細に定義することにより、非効率を回避しています。楽々FW3の機能を十二分に生かすためにも、こうした開発方法の標準化は欠かせません」(澤越氏)。

また、澤越氏は楽々FW3のモックアップ機能を高く評価しているとも話す。楽々FW3はデータモデルから画面のモックアップをノーコードで作成できる。そのため、実画面の開発前にユーザレビューを実施でき、実装後の課題を早期に検知することが可能だ。実際に、サントリーシステムテクノロジーでは、モックアップを活用したユーザとの仕様確認を開発前に実施することで、実装後のトラブルを最小限に抑えることができているという。

昨今の「ローコード開発」への注目の高まりが象徴するように、現在、あらゆる業種・業態で開発の生産性向上が求められている。時代の流れに適応した、強固な開発体制を構築するうえで、サントリーシステムテクノロジーの事例は大きなヒントを与えてくれるはずだ。

澤越 侑矢 氏
サントリーシステムテクノロジー株式会社
サービス開発部
澤越 侑矢 氏

サントリーシステムテクノロジー株式会社のホームページ

※本事例中に記載の社名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。

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