ハンコ出社とは?課題・原因から解決方法までを解説
テレワーク・リモートワークが普及する中で、「ハンコを押すためだけに出社しなければならない」という問題が多くの企業で顕在化しました。
本コラムでは、ハンコ出社の概要・背景から、メリット・デメリット、そして実際に解消するための具体的なステップと有効なシステムをご紹介します。
目次
ハンコ出社とは?
「ハンコ出社」とは、書類への捺印(押印)や承認印を得るためだけに、社員がわざわざ会社へ出社しなければならない状況のことを指します。
テレワークや在宅勤務が広がった近年、多くの業務はオンライン上でこなせるようになりました。しかしながら、契約書・稟議書・申請書・請求書など、押印が必要な書類が残っている企業では、担当者が「ハンコのためだけ」に出勤せざるを得ない状況が生まれています。
この現象が「ハンコ出社」と呼ばれ、テレワーク推進の大きな障害の一つとして社会的に広く問題視されるようになりました。
一般的にハンコ出社が発生する書類の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 社内の稟議書・申請書(経費申請,購買申請,採用稟議など)
- 契約書・覚書・協定書
- 請求書・見積書・発注書
- 社内規程の改訂書類
- 各種届出・申請書類(人事・総務系)
こうした書類では、責任者や決裁者の押印が「正式な承認・決定の証明」として機能してきました。
しかし、押印のためだけに出社が必要となるのは、業務効率・コスト・従業員満足度のいずれの観点からも望ましくありません。
ハンコ出社が起きる背景・原因
ハンコ出社が生じる背景には、日本の商習慣と社内制度の構造的な問題が深く関わっています。
①紙文化・ハンコ文化の根強い定着
日本では古くから、書類への押印が「承認・合意の証」として慣習的に定着してきました。
法律や規程で押印が義務付けられている書類もありますが、実際には社内慣習として残っているケースも多く、「なぜ押印しているのか」の根拠が不明確なまま続いているものも少なくありません。
②社内規程・ワークフローが紙ベースのままになっている
社内申請や承認フローが紙の書類・押印を前提に設計されているため、テレワークの普及後も書類ベースのプロセスが変わらず残り続けています。
③電子署名・電子決裁の導入が遅れている
電子契約法(電子署名法)や電子帳簿保存法の整備が進んでいる一方で、現場での電子化・デジタル化への取り組みはこれからというケースも少なくありません。
④「承認=押印」という意識の固定化
管理職層を中心に、「正式な承認はハンコがないと成立しない」という認識が根強く残っており、電子承認への移行に心理的なハードルが生じています。
ハンコ・押印のメリット・デメリット
ハンコ出社や押印文化には、長く続いてきたからこその合理性もある一方、現代のビジネス環境においては見逃せない課題や影響もあります。
メリット
- 意思決定の明確な証拠になる
押印された書類は、誰がいつ承認したかという事実の物理的な証明として機能します。
法的な証拠能力という観点では、印鑑・署名には一定の信頼性があります。 - 改ざん・偽造のリスクを抑制できる
紙への押印は、電子データに比べて改ざんが難しいという側面があります(実印・契約印の場合)。 - 社会的に求められる場面が残っている
取引先や官公庁との書類において、押印が求められるケースも依然として存在するため、完全に不要とはいえない場面もあります。
デメリット
- テレワーク・リモートワークの推進を妨げる
ハンコを押すためだけに出社が必要になり、テレワーク推進の障害となります。
加えて、従業員の通勤負担・交通費といったコストも発生します。 - 業務スピードの低下
承認者が不在になると、書類が「止まる」という事態が発生します。
迅速な意思決定が求められるビジネスシーンでは、書類の滞留は大きな課題になり得ます。 - 書類の管理・保管コストが発生する
紙の書類を保管するためのスペース・ファイリング作業・紛失リスクが生じます。
法定保存期間が長い書類については、特に保管負担が大きくなります。 - ペーパーレス化・DX推進の障壁になる
ハンコ出社の慣行が残る限り、業務全体のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進みにくくなります。
ハンコ出社を解消するためのツール・システム
ハンコ出社を根本的に解消するためには、「押印が必要な業務プロセス自体をデジタル化・電子化する」ことが有効です。
これを実現するための主なツール・システムとしては、以下が挙げられます。
①ワークフローシステム(電子承認・電子決裁)
社内の申請・承認・決裁フローを、電子的に完結させるためのシステムです。
稟議書・経費申請・各種届出など、従来の押印が必要だった書類を電子化し、PC・スマートフォンからいつでもどこでも承認できるようになります。
承認状況のリアルタイム確認や、差し戻し・コメント機能も備えており、紙の書類よりも迅速かつ透明性の高い意思決定が可能になります。
②電子署名・電子契約サービス
取引先との契約書などを電子上で締結するためのサービスです。
法的効力を持つ電子署名により、紙の押印・郵送が不要になります。
電子署名法に準拠したサービスを利用することで、契約書の保管・管理コストも大幅に削減できます。
③文書管理システム
多種多様な文書を、電子データとして一元管理できるシステムです。
紙の書類の山をなくし、検索・閲覧・共有を効率化します。ワークフローシステムと連携することでさらに効果が高まります。
④クラウドストレージ・コラボレーションツール
承認前の書類の共有・編集をオンラインで行うためのツールです。
ワークフローシステムと組み合わせることで、申請から承認・保管までの一連のプロセスをデジタルで完結できます。
ハンコ出社を解決するためのステップ
ハンコ出社の解消は一朝一夕には進みません。
いきなりすべてのハンコをなくすのはなかなか難しく、現場の実情に合わせて進めることが大切です。
以下のステップを順を追って進めることで、無理なく組織全体のペーパーレス・電子化を実現できます。
ステップ1:現状の押印業務を棚卸しする
まず、社内でどのような書類・手続きに押印が使われているかを洗い出します。
押印の目的(法的義務か、社内慣習か)を明確にすることで、電子化できる業務とそうでない業務の整理ができます。
ステップ2:電子化できる業務・書類を特定する
法律上の押印義務がない書類(社内稟議・申請書類など)については、電子承認への切り替えが比較的容易です。
優先度の高いものから段階的に対象を絞ることで、スムーズな移行が可能になります。
ステップ3:ワークフローシステムを選定・導入する
社内の承認フローに合ったワークフローシステムを選定します。
選定の際には、自社の承認経路の複雑さへの対応・使いやすさ・セキュリティ・サポート体制などを考慮しましょう。
クラウド型サービスであれば、初期コストを抑えながら迅速に導入できます。
ステップ4:社内規程・承認フローの見直し
ワークフローシステムの導入に合わせて、社内規程や承認経路の見直しを行います。
「押印=承認」という慣行を「電子承認=正式承認」へと社内で認知・合意形成することが重要です。
ステップ5:社員への教育・定着化を図る
新しいシステムの操作方法をトレーニングし、現場への定着を促します。
管理職・決裁者層が積極的に利用することで、組織全体への普及が加速します。
スモールスタートで成功事例を作り、段階的に適用範囲を広げるアプローチが有効です。
ハンコ出社の解消は「楽々WorkflowII」で実現できます
ハンコ出社を含む承認業務の効率化・適正化に向けて、「楽々WorkflowII」をご紹介します。
申請から承認・決裁までをシステム上で完結
楽々WorkflowIIでは、稟議書・経費申請・捺印申請など、従来の押印が必要だった書類を電子化することができます。
PC・スマートフォンからいつでもどこでも申請・承認が可能になるため、ハンコのための出社が不要になります。
承認状況がリアルタイムで一目でわかる
書類がどこまで承認されているか、誰のところで止まっているかがシステム上で一目で確認できます。
進捗確認のための電話・メール・口頭確認が不要になり、業務スピードが大幅に向上します。
日本の商習慣に対応した複雑な承認フローにも柔軟対応
「根回し」「合議」「差し戻し」など、日本特有の複雑な承認フローにも対応。
書類を回付した後でも、承認者の追加・変更・削除を柔軟に行えます。
クラウド版でスムーズな導入も可能
初期コストを抑えながら、短期間での導入・運用開始が可能なクラウド版もご用意しています。
テレワーク環境やBCP(事業継続計画)対策としても有効です。
ハンコ出社という課題を解消し、働き方改革・DX推進を実現する第一歩として、ぜひ「楽々WorkflowII」をご検討ください。
執筆者:福本 石根
住友電工情報システム株式会社
ビジネスソリューション事業本部
第一システム開発部 フレームワーク
コンサルティンググループ グループ長
導入した楽々WorkflowIIは100社以上。
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