
住友電気工業株式会社
QuickSolutionの生成AI連携機能を活用し、
わずか2週間で数百TB規模の大容量RAG基盤を構築
住友電気工業株式会社(以下、住友電工)はQuickSolutionを活用し、グループでの全社規模の大容量RAG基盤を約2週間という短期間で構築しました。この基盤は、必要な情報を検索・抽出し生成AIに連携するRAG技術を用いて、ファイルサーバなどに保存されている数百TB規模の社内情報から高精度に質問応答する機能を提供しています。これにより、住友電工グループ約29万人が対話形式で社内情報を収集できるようになり、ナレッジの有効活用にともなう生産性の向上やDX推進が可能になりました。
検索基盤として利用しているQuickSolutionを活用し、
社内情報に回答可能なRAG基盤を構築
住友電工では全社検索基盤としてエンタープライズサーチQuickSolutionを利用しており、ファイルサーバ(400TB)、文書管理システム(180万文書)、社内Webサイトなどを横断検索できます。全社的なペーパーレス化も進んでおり、高速・高精度な検索による業務効率化の効果を高く評価しています。また、社内ポータルサイトにある検索窓からもQuickSolutionを利用できるようになっており、社員の情報・知識格差の最小化にも役立っています。
さらに、検索基盤として利用しているQuickSolutionの生成AI連携機能を活用し、社内情報に回答可能なRAG*基盤を構築しました。これにより、ファイルサーバや文書管理システムなどから横断的に必要な情報を抽出し、その内容にもとづいた回答生成が可能になりました。特筆すべきは、数百TB規模の大容量RAG基盤の構築がわずか2週間で完了した点です。これは、通常のRAGシステムが生成AIに連携するデータをクラウドなどにアップロードする必要があるのに対し、QuickSolutionの生成AI連携はデータの保管場所を変える必要がなかったため実現可能でした。
*RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)は、大規模言語モデル(LLM)外部の情報源を検索して必要箇所を抽出し、その内容に基づいてLLMに回答を生成させる技術です。
RAG基盤の3つの特長
このRAG基盤には3つの特長があります。1つ目は回答が正確な点です。RAGの回答品質は抽出した文書の正確性に依存しますが、本基盤はQuickSolutionの高精度検索で絞り込んだ信頼できる社内情報を生成AIに連携するため、正確な回答が得られます。2つ目はユーザの閲覧権限を考慮できる点です。QuickSolutionはアクセス権にもとづいて文書を横断的に検索・抽出することが可能なため、複数のシステムに分散する数百TB規模の社内情報から、適切な権限にもとづいた回答を提供することができます。3つ目は運用がセキュアな点です。連携先の生成AIに質問内容を学習させない設計*になっているため、個人情報/機密情報を含む質問が情報漏洩するリスクがありません。
*LLMに追加学習させない文脈内学習(In-Context Learning)は行います。
RAG基盤の活用状況
現在、このRAG基盤は住友電工グループ国内約4万人、海外も含めると約29万人が申請すれば誰でも利用可能であり、ナレッジの有効活用による生産性向上やDXの推進などの効果が得られています。以下はその一例です。

住友電工は今後も生成AIの活用を積極的に推進していく方針です。RAG基盤の改善を継続的に行う計画を掲げているほか、本基盤の情報源となるデータ対象の拡張も予定しています。同社はQuickSolutionの検索と生成AI連携により実現したRAG基盤を最大限に活用し、情報探しの効率化と社内ナレッジの効果的な利用を推進することで、競争力のある組織を作ることを目指しています。
※本事例中に記載の組織名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。