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データ活用とは?メリットや活用の手順・注意点を解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)推進が浸透していく中、ビッグデータやIoT(モノのインターネット)といった概念や、ICT(情報通信技術)が企業に普及してきました。

デジタル化や事業活動を進めるうちに、定性的・定量的を問わず、さまざまなデータが社外・社内に蓄積されます。近年ではこれらデータを、経営戦略立案や業務効率化に活用するケースが増えています。

「自社でもデータ活用を進めたいけど、どう取り組めばよいのかわからない」と悩む担当者もおられるのではないでしょうか。

当記事では、データ活用の概要や必要性、メリット、活用の手順、注意点を解説します。

データ活用の概要や必要性、メリット、活用の手順、注意点
目次

データ活用とは

データ活用とは、収集・蓄積したデータの取捨選択・分析・加工・検証などを行い、自社ビジネスの拡大や課題解決のために利用することです。

近年、オンラインビジネスやSNSでの広告活動、ICT技術の普及などの要因で、ビジネスで取り扱うデータが膨大になりました。自社で蓄積したデータや社外にあるデータは、ビジネスシーンに応用できるさまざまな情報の宝庫です。

デジタルデータに限らず、企業の周囲には紙の資料、社会情勢、業界情報、暗黙知などが存在します。

株式会社情報通信総合研究所や総務省の調査によると、データ活用に関して次の結果が出ています。

  • 大企業の9割以上、中小企業の半数以上がデータ活用を実施しており、以前よりも浸透している
  • 個人データや製品・サービスから得られるデータを活用する企業が少しずつ増加傾向にある一方、データ活用の効果が得られていない中小企業も多い
  • 個人データ管理に関するインシデントリスク、社会的責任の大きさ(データ漏洩などのリスク)、データの収集・管理に係るコストの増大などを懸念に挙げる企業が多い

以前よりもデータ活用を検討・実施する企業が増えているものの、活用方法や活用後の効果がわからないという企業も出ています。データ活用を検討する場合は、正しい方法や注意点を理解することが大切です。

データ分析とデータ活用の違い

データ分析とは、収集データや蓄積データ、加工データなどを整理した後、目的に応じて分析することです。

データの分析結果は客観的かつ定量的な根拠となるので、取引先や上司などとの交渉場で掲示すれば、迅速な意思決定につながります。また、分析結果は企業の問題点抽出や将来的な予測にも活用できるので、今後の経営ビジョンや事業計画書の作成時のヒントになるでしょう。

データ分析とデータ活用の違いは、「データ分析はデータ活用のプロセスの1つ」という位置づけである点です。原則としてデータ活用は、収集から活用後の効果検証までの一連のプロセスすべてを意味します。

データ活用がなぜ必要なのか

データ活用が必要になった理由として、次のものが挙げられます。

  • 消費者のニーズや情報へのアクセス方法が多様化し、個人の経験やスキルだけでは消費者に合うマーケティングに対応できないから
  • 新製品・サービスの誕生サイクルの高速化により、迅速なデータ活用によるスピーディーなビジネス展開が求められているから
  • 新商品の開発や経営戦略のアイデアに使えるから
  • 業種・業態問わずデータ活用が広まりつつあり、活用しない企業は競合他社のマーケティング・技術に後れを取る可能性があるから

株式会社情報通信総合研究所と総務省の「総務省|デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究」によると、「今後のデジタル経済においてはICTの活用だけでなく、データをどのように使いこなすかが重要になる」と考察されています。

データ活用がなぜ必要なのか

出典:総務省|デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究

以上のことから、今後もデータ活用を前提としたビジネスがスタンダードになっていくと考えられます。

データ活用のメリット

データ活用のメリットとして、「売上の向上」と「業務の効率化・コスト削減」の2つが挙げられます。

中小企業庁の2022年度版中小企業白書によると、デジタル化による競争力強化・データ利活用に取り組む企業では、労働生産性や売上高にプラスの影響が出ているとの結果が出ています。以下では、データ活用のメリットを見ていきましょう。

売上の向上

データ活用によって顧客ニーズ、嗜好、興味関心、行動の傾向などを高い精度でリサーチ・把握ができます。

これらの分析データを活かすことで、より顧客の購買意欲・満足度を高める製品・サービスの提供や、企業が想定するターゲットに合うマーケティングが可能になります。それにより、企業の売上向上を見込めるでしょう。

また、リアルタイムで収集・蓄積したデータを分析・活用できれば、最新の流行・ニーズに基づいた研究・開発・営業などが可能です。これまでになかった革新的な戦略や製品を生み出せれば、企業ブランドや売上、事業規模の向上も期待できます。

業務の効率化・コスト削減

データ活用によって、業務効率化・コスト削減につながる施策を打てます。

たとえば、企業やベテラン従業員に蓄積しているノウハウ・ナレッジ・リスク管理方法などを分析し具体化することで、現場で分析結果を共有して業務効率化が図れます。

また、業務フローや製造ラインにおいて無駄な業務・工数が発生している箇所をデータ活用で洗い出し、分析結果を基に業務改善へつなげることが可能です。

さらに蓄積データから売上や必要在庫を予測できれば、不必要な仕入れ数や配置人員を事前に削減できます。

データ活用のメリット

活用できるデータの種類

活用できるデータの種類として挙げられるのは、主に次の通りです。

活用できるデータの
主な分類
小分類
連絡関係 固定電話、携帯電話、電子メール
販売関係 POSデータ、eコマースにおける販売記録データ
人の行動関係 アクセスログ、ブログやSNSなどなどの記事データ、動画や映像視聴ログ
オープンデータ関係 気象データ、交通量・渋滞情報データ
業務関係 RFIDデータ、顧客データ、経理データ、業務日誌データ、防犯・遠隔監視カメラデータ、電子レセプトデータ、電子カルテデータ
IoT関係 GPSデータ、センサーデータ、画像診断データ

参考:情報通信白書令和2年版「第2節 デジタルデータ活用の現状と課題」|総務省

企業や業界によって種類は異なるものの、デジタル・アナログに限らずさまざまなデータが存在します。公的機関や業界紙、競合他社の公表情報などに記載されている、オープンな情報もデータとして活用できます。

データ活用の注意点

データを活用する際には、「データ関係の最低限の知識・スキルを知っておく」「客観的な視点をもつ」「個人情報の取扱に注意する」の3点が挙げられます。

データ関係の最低限の知識・スキルを知っておく

データの種類や性質を最低限理解しておかなければ、分析や効果検証が正しく実施できない可能性があります。

たとえば、各種データはデータの種類や分析目的に応じた、適切な分析方法が存在します。クロス集計、ロジスティック回帰分析、アソシエーション分析、クラスター分析、決定木分析などです。

適切な分析方法を選択・実行するためには、ある程度の知識・スキルが必要になります。データ活用関係のスキルをもつ人材の育成や、データ活用を支援するツールの導入などを検討しましょう。

客観的な視点をもつ

分析や分析結果の反映などのプロセスにおいては、客観的な視点をもつことが大切です。主観的な解釈が入ると、収集データの内容や分析結果に偏りが出てしまい、正しい結果が導けない可能性が高くなります。

作業時には複数のメンバーと一緒に進める、社外のデータアナリストなどの専門家に協力を仰ぐなどの対応策を検討しましょう。

個人情報の取扱に注意する

顧客データや取引データを活用する際は、電話番号やメールアドレスなどの個人情報データを一緒に管理することも珍しくありません。

個人情報が第三者に漏洩しないよう、セキュリティ面には十分に注意しましょう。データの暗号化、セキュリティソフト導入、アクセス・閲覧制限などが対策として考えられます。

データ活用の注意点

データ活用の方法・手順

データ活用の方法・手順は、主に次の表のように進みます。

データ活用の
方法・手順
概要
1)目的や課題を
明確にする
  • データ活用で達成したい目的、解消したい課題などを明確にして方向性を定める
  • 目的・課題に応じたデータ収集・整理を進める
2)データ収集
  • 各部門・社外問わず必要なデータを収集する
  • データ収集方法や必要リソース(予算や労力など)は事前に確認し、メンバーの選定などを行う
  • 収集するデータは、実際の調査結果や官公庁発表の情報など、第三者を通じて発信されていない一次ソースの情報を原則とする
3)データ分析
  • 目的・課題・データの種類に合わせた分析を行う
  • 一見無関係に思えるデータ同士の関連性や一定の傾向なども見逃さないようにする
  • データ分析の専門知識・スキルを備えた人材や、BIツールなどのデータ分析ツールを準備しておく
  • 可視化した後も、規則性・異常値・因果関係・相関関係について分析する
4)データの可視化
  • 経営層や上司、取引先などが理解・納得できるようデータを見やすいように加工・整理する
  • 数値化・グラフ化などを活用し、第三者でもわかりやすいようにする
5)意思決定・反映
  • 分析結果をビジネスに落とし込む場合は、複数のメンバーとすり合わせを行い主観的にならないよう注意する
  • 意思決定の根拠となるデータ分析が詳細、かつ精度が高いほど確実な意思決定につながる
  • 分析結果の反映後は検証を行い、必要に応じてデータ活用のPDCAを回して最適解を導き出す
データ活用の方法・手順

データ活用の具体例

業界や企業ごとに、さまざまなデータの活用方法が存在します。データ活用の具体例として、次の事例を紹介します。

  • 金融業:インターネットバンキングによる顧客データの管理、資産状況・経済・株価などのデータを総合的に把握・予測した投資アドバイスなど
  • 製造業:IoTやAI導入による製造ラインの自動化、在庫管理・製造管理データの活用による売上・在庫予測、AI搭載の画像データ・センサーシステム活用による不良品検出など
  • 飲食・小売業:顧客導線や売れ筋などのデータに基づく顧客属性に応じたサービス提供、消費者の行動データ活用による自動販売機の商品陳列への反映など
  • IT・Web業:ECサイトの購買履歴・閲覧履歴・レビューの分析による顧客へのおすすめ商品提案、AI学習によるSNSの不適切画像の検知・抽出など

データ活用の関連用語

データ活用の関連用語として、データドリブンとビッグデータの意味を解説します。

データドリブン

データドリブンとは、KKD(勘・経験・度胸)ではなく、売上データやマーケティングデータ、Web解析データなどのデータ分析結果を基に、施策立案や意思決定などを行うことです。

データ活用とほぼ同義で使われるケースもありますが、データドリブン経営やデータドリブンマーケティングといった言葉があるように、データ活用よりも大きな概念の意味で使われるケースが多いです。

ビッグデータ

ビッグデータとは、人間だけでは全体の把握すら困難な多種多量のデータ群のことです。一般的には、「Volume(量)」「Variety(多様性)」「Velocity(速度・頻度)」の3つのVを、高いレベルで備えている情報と定義されることが多いです。

データ活用がなぜ必要なのか

参考:総務省|平成24年度版 情報通信白書

総務省では、「国や地方公共団体が提供するオープンデータ(政府)」「暗黙知(ノウハウ)をデジタル化・構造化したデータ(企業)」「M2M(Machine to Machine)から吐き出されるストリーミングデータ(企業)」「個人の属性に係るパーソナルデータ(個人)」の4つに分類しています。

まとめ

大企業・中小企業問わず、データ活用による売上向上・業務効率化・コスト削減に取り組む企業が少しずつ増えています。多様化・迅速化する事業拡大や競合他社との競争、新しい製品・サービスの開発などに対応するためにも、データ活用を取り入れた業務改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

弊社 住友電工情報システムでは、ビッグデータの活用をサポートするさまざまな製品を提供しています。

たとえばエンタープライズサーチ「QuickSolution」であれば、Officeファイル・PDF・ファイルサーバ・グループウェア・社外のWebサイトなどの媒体や、オンプレミス・クラウドなどの環境問わず、横断的に文章の検索が可能です。

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