コラム 第4号
「うなぎ」から学ぶ、ピンチをチャンスに変えるマーケティング戦略

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2022年9月13日発行

今夏も厳しい暑さとなりました。とくに今年(2022年)は東京都心で6月25日にはじめての猛暑日を観測し、以降9日連続で猛暑日となりました。その結果、東京都心での年間猛暑日は歴代1位の記録を更新したとのことです。

過ごしにくい猛暑のなか、気をつけなければならないのは夏バテ。そして夏バテによい食材といえば、「うなぎ」です。

「土用丑の日はうなぎ」という風習は、いまや世の中の一般常識といっても過言ではありません。しかし、うなぎの旬は冬。うなぎが最もおいしいのは、実は土用丑の日ではなく冬なのです。ではなぜ、「土用丑の日はうなぎ」が定説となったのでしょうか。

「うなぎ」が土用丑の日の定番食材となった由来

そもそも土用丑の日とは、立夏・立秋・立冬・立春の直前の約18日間を表す「土用」のなかで、日にちを十二支(子・丑・寅・卯…)で数えて「丑」にあたる日を指します。

そのため厳密には土用丑の日は各季節に存在しますが、一般的に使われているのは夏の土用丑の日です。ちなみに今年(2022年)の夏の土用丑の日は、7月23日と8月4日の2回ありました。

「うなぎ」が土用丑の日の定番食材となった由来は諸説ありますが、有名なのは江戸時代の学者である平賀源内の逸話です。

逸話によると、日本では昔から夏の土用は暑く夏バテしやすいことから、「丑の日」に体に良い「う」のつく食べ物(梅干しやうどんなど)を食べる風習がありました。一方、冬が旬であるうなぎは夏になかなか売れず、当時のうなぎ屋は商売に困っていました。

そこでうなぎ屋が平賀源内に相談したところ、平賀源内は土用丑の日の風習をうまく利用して、同じく「う」のつく「うなぎ」を夏バテ対策の食材に加えることを発案。そしてうなぎ屋の看板にも「土用丑の日」を宣伝文句として掲げ、庶民に向けて大々的にアピールしたのです。

その結果、うなぎ屋は繁盛し、それ以来「土用丑の日」にうなぎを食べる習慣が現代まで定着してきました。

「うなぎ」から現代の仕事や家庭に活かせることは多い

平賀源内の逸話は、うなぎが最も売れない時期に売れるようにした、マーケティングのお手本のような話です。200年以上前の江戸時代の話ですが、このような考え方は現代の仕事や家庭においても活かせるのではないでしょうか。

現代の仕事への活かし方

商品のマーケティングに関しては、シーズン外の商品を値引きして売る販促戦略など、すでに多くのマーケティング戦略が考案・確立されています。ただし、「うなぎ」から学ぶマーケティングは商品販売だけでなく、会社での業務にも活用できそうです。

会社内の仕事には、社員から人気のある業務とそうでない業務が実情として存在するでしょう。たとえば前者は周囲から注目を集める新商品の企画、後者は議事録の作成などが一例として考えられます。また、テレワークが普及している昨今では、VPNなどのネットワーク負荷管理も苦労のわりに目立ちにくい業務として後者に含まれるかもしれません。

自然に考えると、ほとんどの社員が人気のある業務や目立つ業務、評価されやすい業務をやりたがるはずです。しかし、それでは会社の運営は成り立ちません。事務的な業務や裏方の仕事は若手社員に振るという職場も少なくないですが、それで若手社員がモチベーションを落として会社を辞めてしまっては会社の未来が危ぶまれます。

では、どうすればよいのでしょうか。絶対的な正解はありませんが、「うなぎ」の事例を参考にすると1つの案が出てきます。それは、「会社内であまり人気でない業務にこそ、スポットライトを浴びせて賞賛する」という施策です。

  • 議事録の作成は、重要な決定事項を記録する「エビデンスクリエイター」
  • ネットワーク負荷管理は、欠かせないインフラを整備する「企業内エッセンシャルワーカー」

業務に対して上記のようなポジティブな変換を会社全体で行い、目立ちにくい仕事こそ周囲から評価される風土をつくる。それによって、あまり人気のない業務に対しても社員が率先して取り組む企業文化が形成されやすくなるのではないでしょうか。

現代の家庭への活かし方

現代の家庭においても同様のことがいえます。家庭内でやりたがる人の少ない家事こそ、栄誉ある行為として家庭内で称えるルールを作るのはいかがでしょうか。もしくは、人気のない家事をやった人に何かしらのインセンティブを与える家庭内ルールを設けるのも良さそうです。

たとえば、もし「トイレ掃除」が家庭内で人気のない家事だった場合、トイレ掃除をした人が

  • 週末の外食でどこに行きたいかを決める権利をもつ
  • 観たいテレビ番組の時間帯が重なったときに、優先してチャンネルを決める権利をもつ

というような家庭内ルールを作ってみるのもおもしろいかもしれません。

「ピンチはチャンス」はあらゆる事象に当てはまる

昔は夏に売れなかった「うなぎ」がいまや夏の定番食材の1つとなったように、ちょっとした工夫でピンチはチャンスに変えられます。

仕事や家庭でうまくいかないことも多いでしょう。ただし、ちょっとした発想の転換で状況が好転する可能性もあるのです。「なかなかうまくいかない…」と悩んだときは、それは逆転の発想を取り入れることで今後うまくいく前兆ともいえます。

どのような局面でも逆境をプラスに捉える姿勢で、日々仕事や家事に取り組んでいきましょう。