橿原市役所

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行政DXが大幅に前進

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蓄積した膨大な行政文書から、必要な情報を即座に検索可能に
過去の記録を有効活用できる基盤が築かれ、行政DXが大幅に前進

奈良県中部に位置し、県下第二の都市である橿原市は、行政文書の検索に多大な時間を要するなど、文書の検索・活用にまつわる課題を解決するため、QuickSolutionを導入。ファイルサーバに蓄積した約10TBの行政文書をスピーディに検索可能にし、年間数百万円の人件費に相当する業務削減を実現した。これにより、同市は行政DXを大幅に推進するとともに、過去の記録を漏れなく検索できる基盤を構築。より信頼性の高い行政活動を可能にした。

長年利用したファイルサーバの管理が煩雑化
生産性低下の要因にも

奈良県中部に位置する橿原市。人口は約12万人を数え、奈良県第二の規模を誇る。その歴史は古く、初代天皇とされる神武天皇が即位した地として知られるほか、日本初の都城である藤原京も所在していた。市内には数多くの旧跡や寺社仏閣を有し、歴史の感じられる名所や町並みは数多くの観光客を惹きつけている。

日本古来の歴史を色濃く残す地域である一方で、同市は未来を見据えた先進的な取り組みにも余念がない。2021年4月には、ネットワークや情報端末などを管理する情報システム系の部局とは別に、行政DXを担うデジタル戦略課を設置。電子決裁システムやローコードツールの導入、申請手続きのデジタル化、河川監視カメラの導入による防災強化など、幅広い範囲でデジタル活用を進め、行政DXを推進している。2023年4月には「DX推進戦略」を策定。働き方、市民サービス、共創、人材の4つの領域でデジタル活用を進め、「スマート自治体」の実現を目指している。

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QuickSolutionの導入も、こうした取り組みの一環だった。QuickSolutionの導入に至る経緯や課題について、企画戦略部デジタル戦略課課長の山本久敬氏は振り返る。

「かなり以前から橿原市は文書のデジタル化を進めていましたが、その運用には課題が少なくありませんでした。特に問題だったのがファイルサーバの運用です。当市では基幹系、情報系のそれぞれのネットワーク内にファイルサーバを設け、そのなかに決裁前文書や文書のひな形、会議資料など多様な文書を保管していました。しかし、特別な保管ルールを定めていなかったことや、機構改革による部門の統廃合が続いたことなどが要因で、ファイルサーバの管理が煩雑化。探したい文書をなかなか探せない状況になってしまっていました。当時の検索機能はWindowsに標準で備わっているファイル検索のみ。これでは文書名しか検索対象にできず、すべての検索結果が表示されるまでかなりの時間を要しました。実際に、私が文書を検索する際は、20分ほどはかかってしまうのが日常茶飯事でした」(山本氏)。

橿原市のファイルサーバは20年近く前から利用されており、そのなかには膨大な量の行政文書が蓄積していた。こうした文書を業務では頻繁に活用するため、文書をすぐに探せないことは生産性低下の要因でもあった。そこで、同市は文書の検索・活用の効率化を目指し、エンタープライズサーチの導入を検討。デジタル戦略課が中心となり、製品のリサーチを開始した。

選定要件は「全文検索機能」と「利用しやすいUI」
約10TBの行政文書を検索対象に

エンタープライズサーチの導入にあたって、橿原市はいくつかの選定要件を定めた。その一つがファイルの中身まで検索できる「全文検索機能」である。文書名だけでなく、その内容も検索対象にすることで、検索精度の向上を狙った。また、「利用しやすいUI 」も要件の一つだった。原則として、地方自治体の職員は一定期間で他の部署に配置転換される。そのため、運用担当者の配置転換を見据え、誰でも管理しやすい製品を導入する必要があった。

こうした要件のもと製品を絞り込み、入札を実施して最終的に選ばれたのはQuickSolutionだった。選定要件の策定に携わった企画戦略部デジタル戦略課主任の田島洋氏は、次のように話す。

「入札の前に、選定要件を満たしているか確かめるため、QuickSolutionのデモを実施してもらったのですが、操作性の高さや優れたUIが印象に残っていました。検索画面だけでなく、管理者が利用する画面もとてもわかりやすく、検索対象の設定や権限管理を簡単に行えるのが好印象でした。この製品なら異動時の引き継ぎを容易に行えると思いましたし、全文検索の機能などと合わせて活用すれば、業務を大幅に効率化できると期待できました」(田島氏)。

2023年3月にQuickSolutionの導入を決めた橿原市は、田島氏を中心に導入プロジェクトを開始。2台のQuickSolutionを基幹系ネットワークのファイルサーバと、情報系ネットワークのファイルサーバにそれぞれ適用した。2つのファイルサーバのデータ量は合計約10TB。ファイル数は約1500万にのぼった。さらに、田島氏らはファイルサーバに留まらず、その他の文書管理システムやグループウェアにも検索対象を拡大。デジタル化したあらゆる行政文書をQuickSolutionで検索できる基盤を目指し、導入を進めていった。

合計で約10TB、約1500万のファイルを検索対象
情報系と基幹系の2つのネットワーク内に設けられているファイルサーバにQuickSolutionを適用。合計で約10TB、約1500万のファイルを検索対象とした。

年間数百万円の業務削減を実現
検索精度の向上が業務の効率化を急速に推進

現在、橿原市では全部署にQuickSolutionが導入されており、1日に100~150回の検索が行われている。文書をすぐに探せないことはさまざまな部署で課題視されていたことから、数多くの職員がQuickSolutionを快く受け入れ、日常的に利用するようになった。QuickSolutionの導入により、文書を探す時間は1件につき約5分短縮されており、人件費に換算すると年間数百万円分の業務削減効果が生まれているという。山本氏も、そうした業務削減の効果を実感している一人だ。

「私の場合、予算決算審査への対応が大幅に効率化されました。予算決算審査の際、課内の予算執行状況を取りまとめたり、議会に説明する資料を作成したりするのですが、以前はファイルサーバのなかにある資料作成に必要な文書を探し出すのに多大な時間を要していました。場合によっては、文書を見つけることができず、ファイルの保管場所を知っていそうな職員を探すところから始めなければならないこともありました。実際に、いままでは説明資料の作成には1~2週間もの期間を費やしていました。しかし、現在はQuickSolutionでファイルの中身まで検索が可能になったため、必要な文書に即座にたどり着けるようになりました。資料の作成期間は3、4日ほどに短縮され、本当に楽になりました」(山本氏)。

資料の作成期間を短縮
QuickSolution導入による資料作成期間の短縮

また、山本氏は「探していた文書が存在しない」と明らかになることも、QuickSolutionの導入効果だと話した。以前の検索方法では、文書名しか検索対象にできなかったため、探していた文書名検索以外にも、日付検索やファイルフォルダから目視による確認等、考えられる方法で文書を検索していた。しかし、QuickSolutionの導入により全文検索が可能になり、検索精度が大幅に向上したため、存在しないことが、100%担保されなければならない業務を除き、検索で表示されない文書は「ほぼ存在しない」と判断できるようになった。

行政文書は行政活動の信頼性を担保する極めて重要な記録だ。その存在の有無を即座に判断できることは、行政活動の信頼性の向上にも寄与する。QuickSolutionの導入を通じて、橿原市は行政活動の質向上も実現できた。

今後は新たな仕組みの追加を検討
「行政版の生成AIチャットボット」を構築したい

今後、橿原市はQuickSolutionの活用を進めるとともに、さらに効率的な情報活用のあり方を模索していくという。今後の情報活用について田島氏は展望を語った。

「最終的なビジョンとしては、QuickSolutionとLLM(大規模言語モデル)を組み合わせて活用し、蓄積した行政文書をデータベースとして活用できる基盤を築きたいと考えています。現在は、QuickSolutionで検索した文書を職員が読んで理解しなければいけませんが、LLMを活用すれば膨大な行政文書をデータベースにして、私たちが求める情報を即座に提示する仕組みが築けるはずです。具体的には『元号の改元時に各課でどのような対応をしたのか』『施設を新設する際に、どの部署がどのような起案を行ったか』などの質問文を職員が入力すると、LLMが過去の行政文書の内容を分析して、回答をアウトプットする形です。こうした仕組みを構築できれば、行政活動はさらに効率化し、当市のDXの目標である『スマート自治体の実現』により近づくことができると思います」(田島氏)。

「行政版の生成AIチャットボット」を構想する橿原市。それが実現すれば、この社会における行政のあり方に大きな変化がもたらされるに違いない。意欲的な取り組みを続ける同市のデジタル戦略を、QuickSolutionが確かに後押ししていた。

企画戦略部
デジタル戦略課
課長 山本 久敬 氏
企画戦略部
デジタル戦略課
主任 田島 洋 氏
※本事例中に記載の組織名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。

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