住ベ情報システム株式会社

住ベ情報システム株式会社

基幹系情報システム再構築

基幹系情報システム再構築におけるオープン化・標準化の取り組み

基幹系情報システムの次期開発基盤として、楽々FrameworkIIを採用。
標準化の上、全社へ展開中。

導入の背景

住友ベークライトグループの情報化を担っている住ベ情報システム株式会社は、基幹系情報システムの再構築に取り組んでいる。

開発ツールの選定はその中の重要要素と位置づけられており、「開発スピードアップ・スキル共有・保守性向上・コストダウンという目的達成のためには、開発ツールを統合することが、一つのキーファクターである考えています。」と、取締役開発部門長 清川氏は語る。

しかし過去にいくつかの開発ツールを採用したものの、生産性・保守性・スケーラビリティ・多言語対応等の要求を、高い次元で兼ね備えたものはなかなか得られなかった。

そうした状況を解決へ導く手段として、JAVAフレームワークの導入検討が開始された。「JAVAには大規模な基幹系情報システムの開発言語として採用事例が多い、WEBシステムに向いている等の利点が多くあります。しかし導入方法によっては生産性が低い、オブジェクト指向の習得が難しいと言った欠点もあります。それらを軽減することを主眼として、JAVAフレームワーク選定に着手しました。」と、IT企画推進グループ担当部長 伊達木氏は語る。

清川 充登 氏
住ベ情報システム株式会社
取締役
開発部門長
清川 充登 氏

JAVAフレームワーク選定の経緯

JAVAフレームワーク導入検討チームが編成され、住ベ情報システムとして必要な、5つの要件がまとめられた。

1.生産性が高いこと

  • 部品化とその再利用が可能
  • コードジェネレータを備えている

2.保守性が高いこと

  • 開発済システムの可視性
  • 整合の取れたオールインワンツール

3.習得が容易であること

  • COBOL・ACCESS等からのスキル移行が容易
  • 通常の開発ではオブジェクト指向スキルが不要

4.スケーラビリティ

  • 大規模基幹系の運用に耐える

5.製品の信頼性

  • 他社での採用事例
  • 長期に渡って使える

上記要件に沿ってリサーチが行われた結果、楽々FrameworkIIが採用される。その決め手を、清川氏・伊達木氏はそれぞれこう語る。

清川氏「生産性・保守性・習得容易性に優れており、スケーラビリティ面も大規模基幹システムでの他社採用事例が多く、安心でした。また製品継続性は過去におけるバージョンアップ時の住友電工情報システムの対応内容を伺い、長期に渡ってユーザ企業の運用を重視してこられた実績を評価しました。」

伊達木氏「要件には挙げていませんが、価格がリーズナブルであったことも採用の一因です。もっとも価格面を評価すればオープンソースツールが魅力的ではあります。しかし、社内業務システムの開発に専念するという当社のスタイルにおいては、柔軟性と要求されるスキルが必要以上に高過ぎるため、程良くパターン化された楽々FrameworkIIが適当と判断しました。」

伊達木 大輔 氏
住ベ情報システム株式会社
IT企画推進グループ
担当部長
伊達木 大輔 氏

T字形ER図法の習得

図1 T字形ER図
図1 T字形ER図

導入プロジェクトが始まった。

楽々FrameworkIIの開発手順として、DOA(データ中心アプローチ)による設計、すなわち最初にデータモデルを固めた後に、画面等の設計・開発に入るという手順を踏むことになる。しかし、楽々FrameworkIIにおけるデータベース設計技法の一つである「T字形ER図法」の習得が思うように進まず、予想外の時間が費やされた。

伊達木氏「次に挙げる理由から、T字形ER図法を採用すること自体には、迷いはありませんでした。

  • 楽々FrameworkIIにおける標準のDB設計手法であること。
  • 住友電工情報システムでの、長年の実績。
  • 当社内におけるDOA開発の経験。

しかし従来のER図法との違い、すなわちT字形ER図法とは単なるDB設計技法ではなく、ビジネス分析の手法でもあることが、最初はなかなか理解できませんでした。加えて、文法的なチェックが非常に厳しかったことからDB設計が行き詰まってしまい、パイロットプロジェクトが停滞してしまった時は焦りましたね。しかし住友電工情報システムの手厚いオンサイトサポートを受け、事態を打破することができました。特に、長年の開発経験に裏打ちされた設計上の定石や、なかなか教科書通りにはいかない既存システムとのインターフェースの考え方等を、親身に教えて下さったのはありがたかったです。」

と当時を振り返る伊達木氏は現在、T字形ER図法のメリットを以下の様に感じておられるという。

「抽象的な言い方になりますが、従来のER図法では何気なく書いてしまえることでも、T字形ER図法では否応なくビジネスルールの根源に遡って考えさせられます。その結果、従来は見過ごしがちであったビジネスルールの歪みや、より本質的改善方法に気づくことが多いのです。そのため最近では、楽々FrameworkII以外のシステム設計でも、DB設計に行き詰まったら、T字形ER図法で一度考え直してみているくらいです。(笑)」

「またDB設計が終わった後の画面開発は部品を組み上げるイメージで、ソースのコーディングが最小限で済むため、本当に早いです。T字形ER図法と楽々FrameworkIIは、『なるべくプログラムで表現せず、データそのものに語らせる』というDOAの理念を具現化するものと、感じます。」

図2 楽々FrameworkII 開発の流れ
図2 楽々FrameworkII 開発の流れ

導入の背景

T字形ER図法の習得が一段落したところで、以下の様な項目の標準化が実施された。

  • アプリケーション・XPDの切り分けルール
  • ネーミングルール
  • FD設定手順
  • DD設定手順
  • 画面開発手順
  • プラグイン開発手順
  • バッチ開発手順
  • 帳票開発手順
  • アクセス権管理用共通基盤の開発

伊達木氏「特定システムのための標準化ではなく、当社の様々なシステム領域で、将来に渡って通用する標準を策定することに、腐心しました。

また、各システムで共通化した方が合理的なアクセス権管理領域においては、楽々FrameworkIIに付属のアクセス権管理用ツール(アプリケーションライブラリ)をベースに、社内共通のアクセス権管理基盤を自社でアドオン開発しました。付属ツールにはなかったレコード制限の機能、すなわちログイン者の権限に応じて参照・更新できるレコードを制限する機能を、画面個々のロジックに依らない共通のDBとプラグインで表現・実装した点が、工夫したところです。」

清川氏「楽々FrameworkIIにおけるパターンには、画面開発の自由度を制限する側面があります。しかしその制限を当社では、従来は開発者によってバラつきがちであった画面デザインを標準化するためのよき手段と、積極的に捉えています。」

所感と今後の取り組み

標準化を終えた住ベ情報システムでは、楽々FrameworkIIによる開発が順次進められている。最後に、清川氏・伊達木氏にこれまでの所感・今後の取り組みを伺った。

伊達木氏「実際に開発を始めて実感したことですが、DBアクセスや画面遷移等の基礎的な部分をパターンが処理してくれる分、開発はもとよりテストの手間をも削減できました。また地味な点ですが、サポート窓口からの回答が迅速であることにも、助かっています。

なお、社内講習用テキストと教育用アプリケーションを整備し、2010年度中には5拠点・数十名の開発者全員に、楽々FrameworkIIの開発者教育を実施する予定です。」

清川氏「標準で備わっている多言語対応機能が有用で、海外拠点向けシステムを迅速に開発できました。また、できあがったプログラムの可読性が高く、他の人が開発したものを容易に理解・メンテできる点も大いに評価しています。

ただし当然のことながら、開発ツールを導入すれば全てが解決する訳ではありません。よって、DB設計・画面設計等のレビューを地道に行うことで、楽々FrameworkII導入のメリットをより確実なものにしていこうと考えています。」

住ベ情報システムは楽々FrameworkIIを活用して、基幹系再構築・各種情報化を今後ますます推進する。

図3 画面開発例:外注品検収入力画面
図3 画面開発例:外注品検収入力画面
※住ベ情報システム株式会社様は、2023年10月に住友ベークライト株式会社様に吸収合併されました。
※本記事の社名、肩書、内容は2010年10月時点のものです。
※本事例中に記載の社名や肩書き、数値、固有名詞等は取材時点の情報です。

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